御嶽海7場所ぶり10勝 V機到来!3敗4人でトップ並んだ 貴景勝敗れ不敵な笑み
「大相撲秋場所・13日目」(20日、両国国技館)
関脇御嶽海が妙義龍を押し出しで下し、優勝した昨年名古屋場所以来7場所ぶり10勝目を挙げた。単独トップだった関脇貴景勝が大関豪栄道に敗れたため、3敗でトップに並び、逆転V2へチャンス到来。トップ3敗は御嶽海、貴景勝の両関脇に加え、平幕隠岐の海、新入幕剣翔の4人が並走。1差の4敗で大関豪栄道、平幕朝乃山、宝富士、明生、豊山の5人が追う大混戦となった。
支度部屋で御嶽海が髪を直す中、結びの一番で悲鳴と歓声が響いた。貴景勝が敗れたことを聞かされると「ふふっ」と不敵に笑った。「(残り取組)2つしかないから楽しんで。盛り上がりますよ」。落ち着き払った口調に気合をにじませた。
念願の10勝目は執念でもぎ取った。立ち合い鋭く、出足一気に妙義龍を押し出し。もの言いは付いたが軍配通りに勝ち名乗り。「攻めは良かった」と難敵に何もさせなかった。
優勝した昨年名古屋場所で13勝して以来、ずっと「目標」と言い続けた2桁星。「いやあ、やっと10勝」と安どした。「試行錯誤して切り替えをうまくできている。感覚的なもの」と失敗から学び、連敗癖を克服した。
三役連続在位は昭和以降2位の16場所(同1位は19場所の若の里)。「三役を維持しているのは自信」と言う一方で「自分はそろそろ上に上がりたい」と“卒業”への気持ちは高まっている。
目標の大関とりの足がかりをついに築いた。さらに日本出身力士では稀勢の里以来の複数回優勝のチャンス。1差に9人がひしめく大混戦にがぜんやる気。「(並ぶと)違ってくる。千秋楽まで分からなくなった。1回、ここでリセットしないと。(初優勝の)名古屋とは気持ちが違う」と10勝を達成し、目標を賜杯へと切り替えた。
16年に死去した母校・東洋大の相撲部総監督だった田淵順一氏に口うるさく言われてきた。「今日優勝したら、明日には過去。すがるな」。2度目の優勝が成長の証しであり新たな道を開く。「その言葉を忘れずにいたから、初心に戻れた」。さあ実りの秋へ、14日目、大関豪栄道も突破する。