鬼門の準決で再び出遅れ…サニブラウンを襲った“雑音”ピストル音聞こえず

 男子100メートル準決勝でスタートするサニブラウン・ハキーム(左)
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 「陸上・世界選手権」(28日、ドーハ)

 男子100メートル準決勝が行われ、日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大=はスタートでの出遅れが響き、終盤追い上げたものの、10秒15の1組5着で敗退した。前日本記録保持者の桐生祥秀(23)=日本生命=は積極的なレースを見せたが10秒16で3組6位、日本歴代2位タイの9秒98を持つ小池祐貴(24)=住友電工=は10秒28の2組7位で、同種目日本人初、五輪を含めた世界大会では1932年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳以来87年ぶりの決勝進出はならなかった。

 勝負の準決勝で、悪夢は繰り返された。日本人初ファイナリストの最有力とみられていたサニブラウンは、課題のスタートで痛恨の出遅れ。「(スタートの)音が全然聞こえなくて、マジかと思った。鳴ったかな?って一瞬考えちゃうぐらい聞こえなかった。何が起こったか分からなくて、とりあえず走ったという感じ。後半持ち直したんですけど、スタートの差がもったいなかった」。フワッとした出足でもたつき、中盤から後半はさすがの伸びを見せたものの、交わしきれずに5着。2年前のロンドン大会でも準決勝でスタート直後にバランスを崩して敗退。またしても鬼門を突破できなかった。

 「何も感じなかった」と話していた予選から一日明け、この日は「今日は結構集中していたと思う」。ただ、「単に音が小さかったのか。ずっとマイクの雑音がざぁ~っと聞こえていて、そこから小声で“パン”みたいな音が聞こえて…。『セット』までは聞こえたんですけど」と頭をかいた。

 それでもすぐに切り替えられるのが、この20歳の強さ。2年前に史上最年少で決勝に進出した200メートルは回避したため、個人戦はこれで終了。「終わった時は“なんだこりゃ”と思ったけど、今は全然大丈夫。ちょっと消化不良ですけど」と苦笑いしながら「中盤から後半の走りについては今のレースでより自信になった。こういう舞台でも最初の部分でしっかり組み立てていければ、戦えるレベルまできている。これからまた磨いていければ」と未来を見据えた。

 10月5日からの400メートルリレーで待望の“リレー侍”デビュー。「日本の短距離が強くなっていて、期待値も高い。プレッシャーに負けず、しっかり金メダルを獲って帰れれば」と力を込めた。

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