水質懸念のトライアスロン五輪会場に救世主?ナノテクノロジーで悪臭、大腸菌除去実験
日本トライアスロン連合は5日、東京五輪パラリンピックの競技会場であるお台場海浜公園で水質浄化の実証実験を開始し、報道陣に公開した。ナノテクノロジーを用いた酸化によって悪臭や大腸菌を分解するというもので、9日発表予定の実験結果で改善が見られれば国際オリンピック委員会(IOC)、東京五輪組織委に報告し、本番での導入を検討するという。
通常通りの競技実施が危ぶまれているトライアスロンの“救世主”となるか。8月に同会場で行われた五輪テスト大会では、降雨の影響で大腸菌が基準の2倍検出されるなど水質が悪化し、パラトライアスロンのスイムが中止となる事態になった。また、直前に同会場で行われたオープンウオーターの大会では、選手から悪臭が指摘されていた。
水質への懸念が高まっている中、日本連合が今回白羽の矢を立てたのは、日本環境ビジネス機構という業者。過去にベトナムの河川でヘドロの除去を行うなど国際的な実績があり、IOC関係者から提案された。
同社執行役員の山村忠さん(54)は「機械からイオンを360度まき散らして、大腸菌や臭気に対して即効性があり、水質が改善できる」を自信をのぞかせた。テスト大会での水質問題を知った際には「自腹でも早くやりたいと思った」というほどの使命感に燃えていたという。
この日はお台場周辺の海水を800リットル採取し、ナノテクノロジーの機器を使って臭いや大腸菌を除去できるか実験する。もし効果を実証できれば、トライアスロンコースの規模に合わせて巨大な機器も用意できるという。
この会場で毎年日本選手権を開催している日本連合の大塚真一郎専務理事は「ここで25年間やってきたので、五輪もここで開催することを強く望んでいる」と強調。近隣住民からは「お台場の海に悪評が立っているので、何とか払しょくしてほしい」と言われたというが、「実験で(効果を)実証できればIOCに報告し、組織委にも推奨できるのでは」と大きな期待を寄せた。