テコンドー協会 理事総辞職は審議せず 金原会長「辞めるのは無責任」

 強化体制の在り方を巡って選手と対立している全日本テコンドー協会が8日、都内で理事会を開催した。金原昇会長を含む16人の理事総退陣の意見も出たと言うが、金原会長は「この問題自体が審議事項に当たらない」と議決を取るには至らなかったと説明した。

 この日の会議では、強化策の改善案を議論し、小池隆仁強化委員長ら3人が退任し、強化委員の上部に強化管理部を新設することを決定した。ただ、それでは納得できない岡本依子理事と高橋美穂理事が「皆さんで辞めて責任を取ったらどうか」という話を出したところ、他の理事からは「(今後の)強化方針をしっかり決めて(今から)やるときに辞めるのが無責任だ」という意見が出たという。

 責任の取り方に相違が生まれ、岡本理事、高橋理事はその場で辞意を表明したというが、金原会長は「他の理事は『今後の強化を支えていくのが責任だ』と。他に辞める理事はいない」と説明。その上で、「彼女たちは大変熱い思いをお持ちで、各人の意見は全て真摯(しんし)に受け止める。ただ、今は早急に五輪に向けて選手に素端らしい環境を与えるのが責務」と、今の体制で競技環境を改善していく方向性を改めて強調した。

 この日の会議は6時間を超える長丁場となり、会議終盤の午後7時前には、選手側に立っていたアスリート委員長の高橋理事が体調不良で倒れ、救急車で搬送される異常事態も発生した。治療に当たったドクターによれば「迷走神経反射」とみられ、強いストレスによって自律神経を急に失調し、失神やめまいを引き起こすものだという。

 高橋理事が中座したことで、高橋、岡本両氏の進退は保留となったというが、理事会内部での対立も鮮明化した形となった。

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