IOC委員長、五輪マラソン&競歩の札幌開催「決定したこと」小池知事と会談も平行線
2020年東京五輪のマラソンと競歩の開催地を札幌に移転する案に関して、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長が25日、東京都庁を訪問し小池百合子都知事と会談した。
約1時間半にわたって話し合ったが、コーツ氏は「(開催地が)東京に戻る可能性はない」「(IOC理事会で)意思決定はされている」と札幌移転は決定事項であることを強調した。30日からは調整委員会が東京都内で開催される。
東京の猛暑によるアスリートへの健康被害を憂慮したIOCが今月発表した札幌移転案を巡っては、暑熱対策などの準備を進めてきた都が反発していた。この日の会談では、小池知事が改めて東京で開催する意向を示し、コーツ氏が札幌移転の経緯や正当性を説明した。
移転案を受けて、東京都はマラソン、競歩の午前6時のスタート時間のさらなる前倒しなども模索しているが、コーツ氏は「日の出前にはできない。報道ヘリコプターの都合や、(五輪における)マラソンの重要性を考えると(暗いと)見え方が良くない」と否定的。今年の世界陸上の開催地だったドーハ、東京、札幌の気象条件を比較した資料も用意しながら、「札幌は東京より気温が5~6℃低い。東京より札幌がいいことを示していく」とIOCの姿勢を再強調した。
また、コーツ氏はマラソンのメダルセレモニーを新国立競技場で行われる閉会式に組み込み、競歩のメダルセレモニーも東京で開催する案を提示。「都民のために初めてメダルセレモニーと閉会式を同時に行いたい」と、札幌移転で失望する都民や選手への“代替案”を示した格好だ。
一方、小池知事は会談の冒頭で「今回のIOCの決定、発表は大変驚いた。マラソン、競歩を楽しみにしてきた。私も都民も驚き、がっかりしている」とコーツ氏に伝えたが、訴えは届かず平行線。会談終了後の会見では「東京都の対策は、ついこの間までIOCからお墨付きをもらっていた」と急転直下の移転案に改めて不快感を示し、「私は東京でマラソン、競歩をやるという気持ちに変わりがない。調整委員会でも議論していく」と最後まで東京開催の道を探る考えを示した。