羽生結弦「とにかくノーミス」ライバル・チェンの姿に原点回帰 SPへ4回転も好調

 「フィギュアスケート・スケートカナダ」(25日開幕、ケロウナ)

 25日(日本時間26日)に開幕するフィギュアスケートのGPシリーズ第2戦、スケートカナダは24日、ケロウナで公式練習が行われ、初優勝を目指すソチ、平昌五輪男子金メダリストの羽生結弦(24)=ANA=はノーミスの演技を誓った。

 淡々とした語り口調に羽生の強い覚悟がにじんだ。「ファイナルに行きたい。このスケートカナダで勝ちたい」。その言葉を体現するかのように、公式練習では好調ぶりを発揮した。

 午前中に行われた1度目の練習では、SP「秋によせて」をミスなく披露。午後のフリー「Origin」の曲かけ練習では、冒頭の4回転ループが乱れるミスが出たが、その後の練習で修正した。同ジャンプを4本連続で着氷するなど、体の状態はしっかり把握できている。

 今大会では「とにかくノーミスしたいって気持ちが強い」と羽生は言うが、その一言に込めた思いは深い。

 同じく「ノーミス」を目指したオータム・クラシックは「がむしゃら」にミスない演技を目指した。しかし、「最初のサルコーであったり、その後のスケーティングであったり、アクセルの入りであったりと、段階を踏んできれいなジャンプを跳べたらいいな」。1つ1つが技として高い完成度を誇り、その上で演技全体が「ノーミス」という形で完結する。どこを切り取っても美しい演技こそ、理想だと気づいた。

 3月の世界選手権では優勝したネーサン・チェン(米国)に22・45点差の2位。難しいプログラムを作り上げたいという思いが先行し「すごい焦っている感じがあった」という。しかし1週間前のGP第1戦・スケートアメリカで生き生きと踊るチェンの姿を目にするうちに「彼の演技を見ていて、やっぱ自分の演技をしなきゃいけないなって思った」。ライバルの存在が逆に“王者”の心を落ち着かせ、原点に立ち返らせた。

 赤や黄色に色づいた木々が揺れる、のどかなケロウナの街。まず迎えるのは秋がテーマのSP。街中が「ノーミス」の舞いを待っている。

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