テコンドー協会のパワポ誤記載で“勘違い” 代表選考会落選選手を救済
日本スポーツ仲裁機構は30日、テコンドーの東京五輪代表2次選考会(11月10日、駒場体育館)への出場資格を認められなかった選手が全日本テコンドー協会の不備を訴えた件で、協会側の説明に問題があったとして、申立人の同大会への出場資格を認める判断を下したと発表した。
発端はテコンドー協会が用意したパワーポイント資料の記述ミスによって生じた“勘違い”だった。
五輪代表2次選考会には、2019年2月に開催された全日本選手権で3位以内に入った選手らに出場資格が与えられることになっていた。ただ、申立人の選手によれば、18年11月に開催された協会の説明会で用いられたパワーポイント資料で、2次選考会への出場資格について「2018年全日本選手権で3位以内」と誤った情報が記載されており、そのように思い込んでいたという。
申立人は19年全日本選手権で2回戦敗退に終わっているが、18年全日本選手権で3位に入っており、2次選考会への出場資格はあると主張していた。協会側は説明会で誤りに気づいて誤りを訂正したと主張したが、仲裁機構は「(情報が)修正され、周知された証明はない」と判断。正しい情報の周知を怠った協会側に落ち度があったとして、申立人の2次選考会への出場資格を認めることとなった。
スポーツ団体の代表選考においては00年シドニー五輪における競泳代表選考の紛争を経て、明確で公正な選考方法が求められる流れができた。今回は資料の記載の誤りという“凡ミス”だったが、五輪代表選考につながる重要な局面だっただけに、日本スポーツ仲裁機構の上柳敏郎執行理事は「緊張感に欠けていたのではないか」とテコンドー協会の落ち度を指摘した。
全日本協会は現在、強化方針などを巡ってトップ選手と対立しており混乱が続いているが、ガバナンスのほころびが細部に立ち現れることとなった。
8日の理事会では、トップ選手から不満が上がっていた小池隆仁・前強化委員長ら強化スタッフ3人が退任し、28日の臨時理事会では金原昇会長を含む現理事の総辞職を決定。外部有識者4人からなる検証委員会が関係者へのヒアリングを経て、1カ月をめどに新理事の選任するが、金原会長は「未来のテコンドー協会にとっていい判断。協会のガバナンスをしっかりするということを伝えることが大事」と話している。