クライミングで日本協会が国際連盟を仲裁裁判所に提訴 五輪選考基準巡り“解釈”混乱
日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA=以下、日本協会)は1日、都内で会見し、20年東京五輪の代表選考に関する解釈を巡り、国際スポーツクライミング連盟(IFSC=以下、国際連盟)をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する手続きを行ったことを発表した。
解釈の違いは、出場枠を獲得した選手の中から日本協会が五輪出場選手を選ぶ裁量があるか、ないかという点にある。
日本協会は18年10月に国際連盟が発表した基準に基づき、出場枠2に対し、8月に行われた世界選手権での2枠(7位以内に入った上位2人)、11月にフランス・トゥルーズで開幕する五輪予選での2枠(6位以内)、開催日・場所未定のアジア選手権の1枠(優勝者)の最大5選手から2人を選出できると判断した。
細かな解釈まで国際連盟と確認。日本協会は世界選手権の最上位選手を内定とし、枠を獲得した残りの選手については来年5月の複合ジャパンカップで争い最上位選手を選出することを決めた国内選考基準を今年5月に発表した。つまり、世界選手権の7位以内の最上位選手を尊重した上で、残り1枠は条件を満たした選手から五輪直近の5月に行われる大会での最上位選手を五輪代表にしよう、という狙いだった。
この基準により世界選手権で男子で金メダルを獲得した楢崎智亜、女子で銀メダルを獲得した野口啓代が内定を得た。
しかし、10月に届いた国際連盟からの文書では解釈が変わっていた。
1カ国に与えられる割り当て出場枠は“最大5選手”ではなく2名以内となっており、世界選手権で7位以内の日本人2位だった男子の原田海(4位)、女子の野中生萌(5位)も事実上内定となり、五輪予選、アジア選手権で枠獲得を目指す選手が五輪出場の機会を奪われる可能性が浮上。国際連盟側と協議を重ねてきたが折り合わず。五輪予選が終了する12月1日までに結論が必要なため、提訴に踏み切った。
日本協会の合田雄治郎常務理事は「代理人の見込みでは勝てる可能性はあると聞いている。本来なら国際連盟に刃を向けることはやりたくないが、見過ごすわけにはいかない」と、説明した。