角田あるぞ逆転五輪 48キロ級でオール一本V!阿部、志々目いる52キロから転向即
「柔道・講道館杯全日本体重別選手権」(3日、千葉ポートアリーナ)
女子48キロ級は、52キロ級から階級を下げて臨んだ17年世界選手権銀メダルの角田夏実(27)=了徳寺大職=が、3年ぶり2度目の優勝を果たし、五輪代表2次選考会となるグランドスラム(GS)大阪大会(22~24日)への出場権を獲得した。男子90キロ級は世界選手権団体優勝メンバーの村尾三四郎(19)=東海大=が、決勝でリオデジャネイロ五輪王者のベイカー茉秋(日本中央競馬会)を下して初制覇。同100キロ級はリオ五輪銅メダルの羽賀龍之介(旭化成)、100キロ超級は100キロ級から転向した熊代佑輔(ALSOK)が優勝した。
殴り込みをかけた最軽量級で、角田はその特異なスタイルを貫き東京五輪出場へのわずかな望みをつないだ。組めばともえ投げで相手を畳にたたきつけ、ひとたび寝れば着実に腕をきめる。「ここで勝たないと先はない。この大会で負けたら引退なんじゃないかと思うくらい悩んだ階級変更だったが、しっかり勝てて本当にホッとした」と相好を崩した。
52キロ級を戦場としてきた関節技の名手だが、18、19年世界女王の阿部詩(日体大)、17年世界女王の志々目愛(了徳寺大職)を抜くことは難しく五輪出場は絶望的だった。そこで急浮上したのが周囲から勧められた階級ダウン。悩んだが、「今戦わないと後悔する」とチャンスにかけた。
従来はほぼ減量がなかったが、大会前は残り2キロがなかなか落ちず計量前はもう汗が出ないほど絞り切った。それでも持ち味のパワーは52キロ級時代と遜色なく、必殺のともえ投げ、関節技で次々と実力者を沈めてオール一本勝ち。48キロ級の第一人者である渡名喜風南(パーク24)の対抗馬になり得るには十分過ぎる説得力を持った。
逆転五輪を狙う上で、日本女子の増地克之監督は「今後出る大会を全て勝つことが最低条件」とハッパをかけ、まずは渡名喜や48キロ級の海外選手と相まみえるGS大阪が試金石となる。日本としては世界女王ビロディド(ウクライナ)打倒が喫緊のテーマでもあるが、ともえ投げと十字固めという2大兵器はその可能性を感じさせる。