五輪マラソン競歩の札幌移転 日本陸連がIOC決定を非難声明「理解不能」
日本陸上連盟の強化委員会は5日、都内で東京五輪のマラソン、競歩会場が札幌に移転したことを受けて会見した。10月中旬に国際オリンピック委員会(IOC)のトマス・バッハ会長が強権を発動し、札幌移転を決定。小池百合子都知事などが反発したが、1日に都も受け入れ、正式に決まった。
札幌案が浮上してから2週間、日本陸連が意見を表明するのはこれが初めて。麻場一徳強化委員長は「まず今回のマラソン、競歩の札幌移転ですが、強化委員会としてはあってはならない決定だと思っております。暑さの危険は承知の上で4、5年前から準備していた。それが覆るのは極めて遺憾」と、IOCの決定を非難。瀬古利彦リーダーも「私の頭の中は東京でやるとすり込まれてきた。札幌にいけと言われても切り替えられない。1964年に円谷幸吉さんが銅メダルをとって、もう1度東京でメダルと獲りたいという思いでやってきた」と、言葉を詰まらせながら話した。ここまで意見ができなかったのは「IOCの力の前ではどうにもならない。駄目だといえば、五輪からマラソンなんてやらなくていい、ということになるという思った。ここは我慢しなければいけないのかなと思った」と、忸怩たる思いの中での葛藤を明かした。
また瀬古リーダーは五輪代表に決定している男子の服部勇馬(トヨタ自動車)と話をしたそうで「『瀬古さんの(モスクワ五輪の)ボイコットの時に比べたら、僕らは走れる。幸せです』と言われた。涙が出ました」と、明かした。
また、河野匡ディレクターは「誰も望んでいない意見が“合意なき決定”。理解不能」と、批判した。金メダルの期待が懸かる競歩の今村文男強化コーチも「掛けられたはしごがなくなった」と、失望感をあらわにした。