表現力の宮原!2位 新時代に対抗「しがみつく」

 「フィギュアスケート・GP中国杯」(8日、重慶)

 女子はSP2位の宮原知子(21)=関大=がフリーでジャンプの回転不足を三つ取られたものの142・27点の3位となり、合計211・18点で2位に入った。15歳のアンナ・シェルバコワ(ロシア)が4回転ルッツに2度挑んだフリーで152・53点を出し、合計226・04点でGP2連勝。シリーズ上位6人で争われるファイナル(12月5~7日・トリノ)進出を決めた。本田真凜(18)=JAL=は7位。男子は田中刑事(24)=倉敷芸術科学大大学院=が5位。金博洋(中国)が合計261・53点でGP初制覇を果たした。

 女子新時代の象徴ともいえるトリプルアクセル(3回転半)や4回転のような派手なジャンプはない。宮原は取り組んできた全てのジャンプを降り、磨き抜いた美しいスピン、ステップで最高難度のレベル4を並べる安定感で対抗。表彰台を手繰り寄せ、「自分の感覚で滑ることができた」と、ほっとした表情を見せた。

 第2次世界大戦中のユダヤ人の大虐殺(ホロコースト)をテーマにした映画「シンドラーのリスト」の音楽を使ったフリーで表現したいのは「絶望の中でも諦めずに光を追い続ける人間の強い底力」。重厚さが求められる演目と向き合い、オフ期間はあらゆる種類のダンスを学び、これまでと違った滑りを模索した。表現面を示す演技点は5項目中、4項目で9点台。SPに続いて全体1位の高い評価を引き出した。

 4回転ルッツに2度挑んだシェルバコワには及ばなかったが「得意な滑りをもっと伸ばして、しがみついているぞというのを見せていきたい」。3種類の4回転を駆使するトルソワ(ロシア)が待ち受ける次戦のロシア杯でも、ひるまずに持ち味を出す。

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