「柔道・グランドスラム大阪大会」（２４日、丸善インテックアリーナ大阪）

　東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子７８キロ超級決勝は、世界女王の素根輝（１９）＝環太平洋大＝がロンドン五輪女王のイダリス・オルティス（キューバ）に延長戦の末５分５３秒、優勢勝ちを果たした。ライバルの朝比奈沙羅（パーク２４）は３位。素根が今年の世界選手権に続いて優勝したことで全日本柔道連盟は強化委員会を開き、全会一致で東京五輪代表に内定。柔道の五輪切符第１号となった。

　今年の世界選手権決勝と同じ顔合わせとなった決勝戦。いろんな組み手を駆使してくる元五輪女王の老かいな戦術に負けずに応戦し、最後はフェイントを掛けてからの大内刈りで転がし、技ありを奪った。前回は反則勝ちだったが、今回はしっかり投げ切っての完勝。文句のつけようがなく満場一致で五輪切符を勝ち取った。

　代表決定直後に記者会見した素根は「優勝できて良かったです。（代表が）決まるまでは落ちるかなと思ったんですけど、決まったと言われてホッとしました」と感極まった表情で話した。同じく世界王者として今大会に臨んだ女子５２キロ級の阿部詩（日体大）、男子６６キロ級の丸山城志郎（ミキハウス）が今回は決められなかった代表切符を手にし、「まずはホッとした気持ちと、代表になれて良かったなという気持ちがあります」と胸をなで下ろした。

　金野潤・強化委員長は「（ＧＳ大阪は）日本人４人と海外トップ選手が出てくる中で（世界王者が今回も）連勝する難しさを改めて感じたが、その中で素根が勝った。心技体ともにかなり上がっている」と称賛。日本女子の増地克之監督は「頼もしくなった。一番重い階級を引っ張っていく存在」と五輪代表として太鼓判を押しつつ、「勝負はこれから。（試合が行われる来年）７月３１日当日の五輪に向けて、万全の状態で必ず金メダルを獲れるように準備させたい」と気を引き締めた。

　◆素根　輝（そね・あきら）２０００年７月９日、福岡県久留米市出身。５人きょうだいの末っ子で、双子の兄の影響で７歳から脩柔館で柔道を始めた。南筑高時代の１７年に世界ジュニア選手権を制し、１８年アジア大会で金メダル。今年の全日本選抜体重別選手権、全日本女子選手権でそれぞれ２連覇を達成し、初出場した世界選手権で金メダルを獲得した。憧れの選手は中村美里。得意技は大内刈り。１６２センチ、１１０キロ。