10年もの金原体制が終焉 事実上の“シロ”判定も…足りなかった「心のガバナンス」
強化方針などを巡り選手と対立する全日本テコンドー協会の一連の問題を調査する外部有識者による検証委員会が27日、都内で金原昇会長への最後のヒアリングを行い、金原会長に再任しないこと通告した。金原会長も受諾した。08年から16年、一度退任を経て、17年から現在まで、約10年間続いた金原体制は、ついに終焉を迎えることになった。
検証委の境田委員長は、調査の結果として「ガバナンスの問題はない。金原会長はしっかりとした運営をされてきた」としつつ、「これだけ問題が大きくなり、注目されてしまった。テコンドーの発展の妨げになる」と混乱収拾のために、金原会長ら理事全員を再任しないことに決めたことを発表した。混乱の原因としては、協会の資金難を挙げ「お金のない団体で、理事にしても手弁当のみならず、交通費も自己負担している状況。会長も私財を投じて、運営を無理してやってこられた。そういう歪みがいろんなところに出てきた」とマイナー競技団体の運営の難しさを指摘。その上で「ナショナルコーチ制度も、練習拠点を岐阜羽島にすることもそれ自体は問題はない。人材ともう少し予算があれば…。歯車がかみ合わない中で選手の不満がたまっていった」と、結論づけた。
境田委員長と並んで会見した金原会長は「異論は一切ない。皆さんはご興味があると思うが、私が再任するしないは小さな問題。協会をよくするためのテーマ。1つの節目として、長である私が退かないといけないと思っていた。境田先生にお願いをした時から決めていた。テコンドーの未来が開けてきた。清々しい気持ちだ」と話し、「しこりは一切私の中にはございません」と、話した。
ガバナンスは問題ないとされた中でも、選手と対立し、五輪を翌年に控える中で混乱を招いた。その点については「さらなる勉強が必要だと感じた。協会内では人間関係などもいろいろある。お互いを尊重する気持ちが足りなかった。心のガバナンスが足りなかったと反省している。子犬がキャンキャン鳴くのは可愛いじゃないですか。仲間としてもっと意見を聞くべきだった」と、反省した。
今後のテコンドー競技との関わりについては「私のできる限りの協力をしていきたい」。会社経営者としてスポンサーなどでバックアップすることを誓った。最後には「これでちょっと楽になるかな。東京にくる機会も少なくなるし」と、ちょっぴり寂しそうに天を見上げた金原会長。最後は胸を張って会場を後にした。