「ONE TEAM」が流行語大賞 日本を一つにしたW杯初8強、文句なし選出
今年話題になった言葉に贈られる「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞とトップテンが2日、発表され、年間大賞にラグビーW杯で史上初のベスト8進出を果たした日本代表の「ONE TEAM」が選出された。ラグビー関連では「笑わない男」、「ジャッカル」、「4年に一度じゃない。一生に一度だ」、「にわかファン」もノミネートされていた。スポーツ界からは女子ゴルフ渋野日向子(21)=RSK山陽放送=の「スマイリングシンデレラ/しぶこ」がトップテン入りした。
日本中を一大ブームに包んだラグビーW杯日本代表。そのスローガン「ONE TEAM」が年間大賞に選ばれた。所属するパナソニックの合宿地・宮崎で一報を聞いたプロップ稲垣啓太(29)は「4年間作り上げたチームの文化が日本全国に認知されたのが非常にうれしい。それだけラグビーの認知度が上がってきた」と笑顔を見せずに喜んだ。
各選考委員は日本に夢と希望を与えた戦いぶりを選考理由とした。大塚陽子「現代用語の基礎知識」編集長は「閉塞(へいそく)感や諦めムードを感じるような社会の空気をガラリと変えてくれた」、女優でエッセイストの室井滋氏は「日本中が心を躍らせた」と評した。
「ONE TEAM」は日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC=50)が就任初戦を迎える16年10月28日に、共同主将のフッカー堀江翔太(33)=パナソニック、CTB立川理道(30)=クボタ=とともに決めたスローガンだった。
ジョセフHCは「選手がベストを尽くせる共通目標として何かを掲げようとして、出てきたワードです」と説明していた。7カ国の出身者で構成された日本代表。一つにまとめ上げる必要があった。
「ONE TEAM」には言葉だけでない重みがあった。当初はジョセフHCと選手の間に確執があった。出身地の違いで選手同士にも一体感のない時期もあった。リーチ主将は「(昨年9月の)和歌山合宿のとき。そこでガラッと変わった」と明かしている。衝突と対話を重ねて、長い年月をかけて作り上げたものだった。
堀江は「どういうふうに『ONE TEAM』にするかっていうことが大事な部分。中身の部分もしっかり考えて使ってもらえたらいいな」と言う。強調したのは「ONE TEAM」に至る過程の重要性だった。
WTB福岡堅樹(27)=パナソニック=は言う。「僕たちだけじゃなく日本全体が『ONE TEAM』となって出せた結果だったのかなと思うので、その言葉には重みがある」。ラグビーが日本を一つにした。