紀平梨花4回転捨て身でトライだ!SP無念最下位6位“10時間の空白”で「緊張」
「フィギュアスケート・GPファイナル」(6日、トリノ)
女子ショートプログラム(SP)が行われ、昨年大会を制した紀平梨花(17)=関大KFSC=は連続ジャンプでの転倒が響き、70・71点で6人中6位発進した。自身の持つ世界最高点を更新する85・45点をマークしたアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)が首位。紀平は7日(日本時間8日)のフリーで、14・74点差を追いかける。
うつむいてばかりもいられない。紀平は首位とは14・74点差SP最下位6位発進。捨て身でトライすることこそ、ロシア勢に対抗する唯一の光となるはずだ。一夜明けた7日の公式練習では4回転サルコーを3度着氷。SP直後には「練習の調子によって決める」と語っていたが、前向きにトライを続けた。
まさかのミスだった。SP冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は着氷が乱れ、フリップ-トーループの連続3回転で尻もちをついた。「完璧に状態を持っていけなかった。すごい悔しいというよりも、自分の調整ミス。この演技は当たり前だなっていう気持ちだった」と肩を落とした。
好調で現地入りし、朝の練習でもいい状態をキープしていた。しかし試合までの“10時間の空白”が、紀平の歯車を狂わせた。
紀平は予定に追われていたいタイプ。公式練習から試合まで普段は昼寝やメーク、髪のセットに時間を使って調整を進めるが、いつも以上に時間があったため、動画を見たり、公式練習を振り返ったりして過ごした。「することがなかった分、緊張に走ってしまった」。昼寝でもぐっすり眠れず目を閉じていただけだったという。
当然疲れは抜けない。試合前のウオーミングアップで「瞬発がちょっと遅いなって感じた」と異変に気付いたが、遅かった。いつも通りのパフォーマンスを見せられず「疲れてきていることに気付かず、がちがちに目を覚まして体を動かした。今回のSPはすっごいしんどかった」と無念の表情だった。
こだわりや自制心が強く、意識の高いアスリートだが、繊細すぎる一面が勝負所でマイナスに働いた。「フリーに向かって、すぐに切り替えようという気持ち。なんとか巻き返したい」。昨年女王の意地を見せたい。