ネーサン・チェン 世界最高で3連覇“黄色の衝撃”スコアに「ゾクゾク」連勝記録9
「フィギュアスケート・GPファイナル」(7日、トリノ)
男子フリーが行われ、男女を通じて史上初の5度目の頂点を目指したショートプログラム(SP)2位の羽生結弦(25)=ANA=は194・00点、合計291・43点で2位だった。12・95点差でSP首位発進したネーサン・チェン(米国)が224・92点をマークし、合計335・30点で自身の持つ世界最高を更新し、3連覇を果たした。
黄色い衝撃が羽生の野望をのみ込んでいった。SP首位の世界王者チェンが4回転4種5本を含め、全ての要素に出来栄え点(GOE)で1点以上の大幅な加点がつく完ぺきな演技を見せ、異次元の世界最高得点で2位に43・87点差を付ける圧勝で3連覇を達成。「スコアにゾクゾクしているし、興奮している」。18年世界選手権から続く連勝記録を9に伸ばした。
ただ、その強さだけが際立った。フリーはミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」。鮮やかで、やや奇抜な黄色の衣装で挑むと、冒頭4回転フリップ-3回転トーループの連続ジャンプはなんと5・03点の加点がつき、これだけで20点超え。その後もジャンプはすべて美しく着氷。曲調がラップに変わった場面ではコミカルながらキレのあるダンスを披露し、観衆を世界観にひきこんだ。
これで羽生には、3月の世界選手権に続いて2連勝。シニアでの対戦成績を4勝4敗のタイにした。羽生の持つ旧採点での“歴史的スコア”だった330・43点をも上回った。今大会後には名門エール大の試験も控えているという文武両道の20歳。熱き銀盤に描かれるドラマの中心は、間違いなくこの20歳だ。