【採点分析】羽生結弦 チェンの世界最高点に迫るには…ノーミス+αへ「ワクワク」

 「フィギュアスケート・GPファイナル」(7日、トリノ)

 男子フリーが行われ、SPトップのネーサン・チェンが世界最高得点を更新する演技で大会3連覇を達成した。2位の羽生結弦(ANA)とは43・87点差と大差がついたが、羽生は「大きくないなと思っている」と、今後の巻き返しに自信をのぞかせた。今回のSP、フリーを合わせた演技内容や得点から、活路をさぐった。

(1)SPのトーループからの連続ジャンプ

 今回、SPの4回転トーループからの連続ジャンプが決まらなかった。今大会は10・45点だったが、今季成功させているNHK杯では17・51点、スケートカナダでは16・97点と17点前後が見込める要素。本来の演技をすることで技術点で6・5点前後は上積みされ、演技構成点でも若干の上積みが見込めるだろう。

(2)3回転アクセル-3回転アクセルの完成

 今回挑もうとしていた3回転アクセル-3回転アクセルのシークエンスジャンプは基礎点が後半であることを加味して14・08点となる。今大会は単独の1回転アクセルとなり1・27点に終わった。成功させた時の出来栄え点による加点を加味すると、15点前後の伸びしろがあると考えられる。

(3)4回転トーループからの連続ジャンプの完成度

 羽生の演技構成で1つの要素としては最も基礎点が高くなるのが4回転トーループ-オイラー-3回転フリップの連続ジャンプ。これは今季成功させたスケートカナダでは20・90点をマークした。今大会では回転不足が最後のフリップについたこともあり、出来栄え点で減点が入って13・35点。差し引きは7・55点となる。

 また、4回転トーループからの2連続ジャンプは2つ目のジャンプが3回転トーループから2回転になった。ここを4回転-3回転できっちりと成功させると、3点から4点の上積みが見込める。

   ◆  ◆

 以上に記した上積みを全て足すと、単純計算ながら30点から33点ほどになるが、まだ今大会でつけられた43・87点を埋めきれない。チェンが完ぺきな演技をしたこともあるが、後は、羽生が「全部跳べて、全部プログラムとしてまとまってなんぼ」と語るように、SP、フリーの両プログラムを全体として完成度を高めていくことが考えられる。羽生自身も「これからはこの構成ですべりこみができて、また辛い練習ができると思うと、ちょっとワクワクしてます」と意欲的だ。

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