ザギトワ、事実上の引退「私は既に勝利した。人生の全てを手にしている」

 フィギュアスケート女子の平昌五輪金メダリスト、アリーナ・ザギトワ(17)=ロシア=が13日、ロシア放送局「第1チャンネル」の番組で一時的に競技活動を休止することを発表した。25日に開幕する国内代表選考会のロシア選手権、来年の欧州選手権、世界選手権は出場しない。ザギトワは「私は既に勝利した。人生の全てを手にしている」と発言。事実上の引退宣言と受け取られている。

 五輪女王が競技活動の一時停止という大きな決断を下した。主要タイトルを制覇してきたザギトワは「私は今、既に全てを手にしている」とした上で、「これまでは常に何かが欠けている感じがしていた。その状態に戻したい」と15歳で金メダルを獲得した平昌五輪後、モチベーションの低下に苦しんでいたことを明かした。

 多くの金メダリストが五輪後に休養を選択する中、次のシーズンもリンクに立ち続けた。体の成長に苦しみながらも3月の世界選手権では金メダルを獲得。ただ今季は、シニアデビューとなった同門の16歳コストルナヤ、15歳のシェルバコワ、トルソワの台頭もあって勝利から遠ざかり、先日のGPファイナルではフリーで失速。6人中最下位に終わった。ザギトワは「ロシアのスケート界は若年化が進んでいる」と、若手の存在が決断の背景にあることを示唆した。

 今後も練習を続け、アイスショーには出演するが、周囲は競技復帰に懐疑的だ。ロシアメディアの「スポルトエクスプレスト」電子版は浅田真央らを指導したタチアナ・タラソワ氏の「アリーナには多くのファンがいるが、競技に戻ってくることはないだろう」というコメントを掲載。事実上の引退と受け止められている。

 現在は大学入学に向けて勉強を始めており、「今後はスポーツ大学に進学し、コーチを目指すことになる」とも語ったザギトワ。華やかなルックスと圧倒的な跳躍力で人気を博した17歳が、新たな道を歩む。

 ◆アリーナ・ザギトワ 2002年5月18日、ロシア出身。08年に競技を始め、17年3月の世界ジュニア選手権で優勝。17-18年シーズンにシニアデビューし、名古屋で行われたGPファイナルで初出場優勝、欧州選手権も初制覇。平昌五輪のショートプログラム(SP)で世界歴代最高得点を記録し、金メダルを獲得した。155センチ。

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