高橋大輔、最後のSP 全日本自己ワースト順位も後輩たちの心を打った魂のステップ
「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、代々木第一体育館)
男子ショートプログラム(SP)が行われ、来年アイスダンスに転向するため、今大会がシングルとして最後の大会となるバンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(33)=関大KFSC=は、ジャンプなどでミスが出て、65・95点で14位と大きく出遅れた。高橋にとって全日本14度目の出場でワースト順位となったが、スケーター高橋大輔の滑りを刻み込んだ。
苦しい演技だった。ジャンプは冒頭の連続3回転こそなんとか着氷させたが、トリプルアクセルは両足着氷になり、最後の3回転ルッツは転倒。スピンはレベルを取りこぼし、最後のステップの終盤は息が上がって、足もついていかない。はいつくばる形でのフィニッシュ後、苦しそうに顔をゆがめた。高橋大輔、最後のSPは14度目の出場で最低順位となる14位。「出来としては最悪。悔しいです。あと10年若かったら」。悔しそうに天を仰いだ。
ただ、高橋らしい見る者の心に何かを残す演技だった。どこかをかばえば違う箇所が痛くなり、来年からのアイスダンス転向を発表したことでモチベーションの持ち方にも苦労した。それでも近年選んでこなかった息つく暇もないハードロック曲を全身全霊を込めて滑りきった。表現力を示す5項目の構成点では、羽生、宇野に続く3番目のスコアをマーク。会場では翌日にフリーを控える女子の紀平梨花や宮原知子ら関大を拠点にする後輩たちが、その姿を目に焼き付けていた。
最後の演技となる22日のフリーは2季連続となる「ペール・グリーン・ゴースト」。
「今日に限っては何も伝えられなかった。フリーで何とか挽回できれば」。スケーター高橋大輔のすべてを氷に刻みつける。