リオ五輪銀の太田忍 東京五輪絶望「整理つかない」階級上げて挑戦も初戦敗退
「レスリング・全日本選手権」(21日、駒沢体育館)
男子グレコローマンスタイル67キロ級1回戦で、リオデジャネイロ五輪59キロ級銀メダリストの太田忍(25)=ALSOK=は、井ノ口崇之(自衛隊)にテクニカルフォール負けした。五輪最軽量の60キロ級から階級を上げて東京五輪を目指したが、絶望的となった。
五輪切符が懸かる大一番を前に、前日は緊張して一睡もできなかったという。第1ピリオドは投げを打とうとしたところをつぶされて、いきなり失点。そこから1ポイントも奪えないまま、失点を重ねた。得意のがぶり返しを狙うも決まらず、無情にも点差が開いていった。「しっかり準備してきた。体格差は感じなかった」と話したが、国内では無双状態を誇った60キロ級時代の戦いはできなかった。
競技人生でも初めてという1回戦敗退に終わり、「今は気持ちの整理がつかない」とぼう然。「五輪で金メダルを獲ることがレスリングをやってきた中での目標だった。1回戦でこのような試合をしてしまったら、東京オリンピックの“と”の字もないし、この時点で僕の東京五輪はないので。期待を裏切ってしまい、情けない。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、時折目に涙をためながら心境を語った。
主戦場だった60キロ級では、ライバルの文田健一郎(ミキハウス)が世界選手権で金メダルを獲得し、五輪代表を決めた。押し出される形となった太田は階級アップを決意し、世界選手権では非五輪実施の63キロ級で優勝。「段階を踏んで準備してきた」と五輪階級の67キロ級挑戦へ自信をつけていただけに、まさかの結果となった。