「フィギュアスケート・全日本選手権」（２１日、代々木第一体育館）

　２２日の男子フリーへ向けた公式練習が会場で行われた。フリーがシングル選手として最後の演技となるＳＰ１４位の高橋大輔（３３）＝関大ＫＦＳＣ＝は、４回転トーループを着氷するなど調整した。

　余計な感傷はなく、ただ今の時間を楽しみながら、高橋は最終調整を終えた。シングル選手として最後のプログラムとなる「ペール・グリーン・ゴースト」の曲かけ練習では、ＳＰでは失敗したトリプルアクセルを２本とも成功させた。練習終盤には４回転トーループにも成功。「本番では（４回転は）やらないです。もうやることもないんで。１本決めたら、満足しました」と朗らかに笑った。

　ＳＰではハードロックの演目を全力で踊りきった。３３歳にはかなりハードな演技だったが、一夜明けて「思ったより体は動いた。疲れはあると思うんですけど」と、これまで様々なドラマを生み出してきた日本一決定戦独特の空気が力を与えてくれている。

　ＳＰでは１４度目の全日本の舞台で自己ワーストの１４位に沈んだが、もはや順位は関係ない。第一人者の去り際として、氷上に何を残せるか。「何も考えずに、楽しめたら」。誰もがその滑りに憧れた「大ちゃん」の“ラストダンス”は、きっと見る者の心に何かを残す。