高橋大輔「もうシングルで戦うのは無理だな」と痛感…アイスダンスへ「次に生きる」

フリー演技を終えて長光歌子コーチに花束を渡す高橋大輔=東京・国立代々木競技場(撮影・堀内翔)
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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(22日、代々木第一体育館)

 男子フリーが行われ、来季からアイスダンスに転向するため今大会がシングル最後の出場となる高橋大輔(33)=関大KFSC=は、フリー138・36点、SPとの合計では204・31点だった。“世界一”と称されたステップを披露し、完璧とはいかなかったがジャンプも最後まで果敢に挑んだ。「もうシングルで戦うのは無理だな」と痛感するほど全てを出し切った“ラストダンス”だった。

 クライマックスへ向かうにつれ、ジャンプに乱れが出た。それでも、万感の思いを演技に込めた。最後のジャンプは決まらなかったが、華麗なステップと、スピンで演技を締めくくった。

 「演技自体はSP、フリーともボロボロでしたし、もう少しできていたけど、最後にふがいない演技をしてしまって申し訳ない気持ち。僕自身も次に向かう気持ちになった」

 世界の第一線で戦い続けてきた高橋にとっては、区切りがつく演技だった。キスアンドクライでは「大ちゃん」コールににこやかに応えていたが、目は潤んでいるように見えた。

 「最後にお客さんが温かい拍手を下さって。今日までシングル最後というのが自分にとって大きなものではなかったけど、今日見てシングル引退なんだなと思ってしまって、うるっとしてしまった」

 ファンを驚かせた現役復帰から2シーズン目。「第2の人生で2シーズン目はうまくいかなかったが、これも経験で、次に向けて、しんどかったけどいい経験になった」。そして「もうシングルで戦うのは無理だなと改めて今回の試合で感じた」と続けた。偽らざる気持ちだろう。

 村元哉中とのアイスダンス転向会見では北京五輪を目指すことを明言しており、スケーターとしての戦いは終わらない。「これから世界へ向かっていくのは、下からはい上がっていかなければならない。そういう経験をしている。この経験は次に生きるのかな」。あくまで視線は“次”に向けていた。

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