超速の箱根駅伝…吹き荒れた厚底旋風 区間新4連発に指導者は「物差しを変える必要が」
「箱根駅伝・往路」(2日、大手町~神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場)
王座奪回を狙う青学大が5時間21分16秒と、昨年の記録を5分縮める驚異的な往路新記録で3年ぶりの往路優勝を飾った。2位は1分33秒差で国学院大。連覇を狙う東海大は4位につけた。1から4位までが往路新記録だった。
今年の箱根は“超速駅伝”となった。1区区間賞の創価大・米満怜(4年)が渡辺康幸と並ぶ歴代2位の1時間1分13秒で走ると、2区からは区間新が4連発。2区の東洋大・相沢晃(4年)は不滅の記録かと思われたメクボ・モグス(09年・山梨学院大)の1時間6分4秒を上回り、史上初の1時間5分台となる1時間5分57秒をマーク。3区の東京国際大のヴィンセント(1年)は、従来の記録(1時間1分26秒)を2分1秒を縮め、初めて1時間を切る59分25秒のスーパーレコードをマークした。
その他、日本選手2人も区間新だった。4区では青学大の吉田祐也(4年)が、前年に相沢がマークしていた記録を24秒上回る1時間0分30秒の区間新。5区も東洋大の宮下隼人(2年)を含めた3人が区間新。簡単に従来の記録が塗り替えられていった。
絶好の気象条件だった以上に、大きな影響を与えたのは、現在、陸上界を席巻しているナイキの厚底シューズだ。カーボンファイバープレートによる推進力を得られ、足への負担が少ないとされる同シューズは、男女のマラソン世界記録を打ち立てるなど、現在、世界の長距離界を席巻。今大会では8割近い選手がピンクや、左右色違いのナイキの厚底シューズで走っていた。中には給水で併走する選手にも厚底使用者がいた。
国学院大の前田康弘監督は「タイム設定通りにいかない。読みづらい」と苦笑いしつつ「これが時代ということなんでしょう。シューズも含めて。(区間新が多発した)高校駅伝、ニューイヤー駅伝の流れが箱根にもきたいう感じ。これまでの常識が通じない。固定概念を変えないと。進化させないと対応できない」と、分析した。東洋大の酒井俊幸監督も「1区で1時間1分があんなに出るとは思わなかった。高校駅伝もニューイヤー駅伝も好記録になっている。1つの物差し、尺度を変える必要が出てきている」と、神妙に語った。「オーバーペースが普通になっている。これまでの常識にとらわれず、オーバーペースで突っ込める準備が必要」と、語った。
駒大の大八木監督も「2、3、4、5で区間新でしょう?」と驚きつつ、「気候が良かったのもあるが、それにしても出過ぎ。風はあんまりなかったと思う」と振り返った。