明大、勝負分けた執念の7人スクラム「成長したところ」シンビンのピンチ守り切る
「ラグビー大学選手権・準決勝、明大29-10東海大」(2日、秩父宮ラグビー場)
明大は東海大を下し連覇へ王手をかけた。勝敗を分けたのは後半22分、明大ロック片倉(3年)が危険なプレーによりシンビン(10分間の一時退場)となってからのプレーだった。
直前の後半18分に東海大にこの日最初のトライを奪われて、10-24。さらに劣勢に立った自陣をゴール前で、14人対15人の数的不利に立たされた。
迎えたスクラム。明大はあえて1人少ない7人で臨む。
フッカー武井主将(4年)は「この試合のキーポイントだと思う。ヤバいというより、全員がしっかり止めようという意思だった」。田中監督は「正直トライをとられて仕方ないと思った。次のキックオフからの準備をした」。
監督は諦めた。選手は立ち向かった。スクラムでペナルティーを取られ、追い込まれたがトライは許さずはね返すと、逆に相手の反則を誘って窮地を脱出した。武井主将は「このチームとして成長したところだと思う。今までなら諦めてトライをとられていた」と振り返る。監督の思惑を選手が超えた瞬間だった。
東海大・木村監督は「スコアの状況もみてあそこでワントライ差にする。(反則をとられた)スクラムが勝負だった」。CTB真野主将(4年)は「スクラムで押し切るつもりで準備していた」とそれぞれ振り返った。勝負のスクラム。7人の明大を押し切れなかった。
祈るような気持ちで見つめたのは一時退場した明大・片倉だ。190センチの巨漢はラインアウトやスクラムで欠かせぬ存在だった。「一番つらい時間帯で反則。負けたら僕のせいだと思っていた。感謝しかないです」と神妙な表情だった。
苦境を乗り越えて、11日に国立競技場で開催される早大との決勝戦に臨む。早明による大学選手権決勝対決は96年度以来23季ぶり。今季の対抗戦では早明戦(19年12月1日・秩父宮)では36-7で明大が圧勝している。武井主将は「新国立でワセダと対決する。うれしい対戦になった。10日間成長してワセダに臨みたい」と好敵手を相手に、連覇に挑む。