御所実19歳・島田“古巣”東海大大阪仰星に恩返し なじめず退学から再起
「全国高校ラグビー・準々決勝、御所実14-0東海大大阪仰星」(3日、花園ラグビー場)
御所実(奈良)は東海大大阪仰星(大阪第3)に完封勝ち。5日に行われる準決勝は抽選の結果、常翔学園-御所実、桐蔭学園-東福岡の顔合わせに決まった。
わだかまりも後ろめたさも、花園の芝が忘れさせてくれた。御所実が第91回大会以来の対戦となった東海大大阪仰星を下し、3大会ぶりの4強進出。19歳で高校日本代表候補のプロップ島田彪雅(ひゅうが、3年)は「見返すという気持ちで臨んだ。ケジメをつけられた」と静かに語った。
16年春に東海大大阪仰星に入学したが、ラグビー部の雰囲気になじめず「ラグビーが嫌いになった」と翌年1月に退学した。運送会社で仕分けのアルバイトを経験。中学時代の同級生に誘われ、17年4月に再び1年生として御所実に入学した。
1歳下の同級生にとけ込めず不登校を繰り返したが、竹田監督から毎日のように「今日も待ってるから」とメールが届いた。「竹田先生が見捨てず最後まで手を掛けてくれた」と感謝は尽きない。
ラグビーの楽しさを思い出させてくれた仲間のために体を張った。ナンバー8西林のシンビンで数的不利に陥っても「やってきたことをやろう」と声を掛け合い、古巣を無得点に抑え込んだ。花園3試合で失点は3回戦で許したPG1本のみ。被トライ0という鉄壁守備を誇る。
「僕も避けていた部分があった」と言うが、試合後には東海大大阪仰星側へあいさつに向かった。苦い過去は清算した。卒業後は大学に進学せず、トップリーグのパナソニックに入団する逸材は「人生の財産になった」と、晴れやかに笑った。