東海大、復路大会新Vも届かず 館沢が意地の40秒区間新「ケガをしてもいいかなと」

 「箱根駅伝・復路」(3日、神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場~東京・大手町)

 東海大は6区の館沢亨次(4年)が区間新記録の激走で追い上げたが、連覇はならず2位。

 体内のアドレナリンを一滴残らず絞り出した。芦ノ湖から駆け抜けた20・8キロ。もんどり打つようにタスキを渡すと、館沢はばったりと倒れ込んだ。体を抱えられながら、聞こえてきたのは区間新記録。従来を40秒塗り替える57分17秒に、前回王者のプライドが凝縮されていた。

 「ここまでキャプテンらしいことをしていなかった。今年チームに迷惑をかけたし、恩返しは走って返すことだった」。沿道で往路のメンバー5人も見守った中、青学大との差を3分22秒から2分21秒に縮める快走。順位も2位へと一つ押し上げた足に感謝した。

 昨年7月下旬、右足に激痛が走った。8月にMRI検査を受けた結果、右太もも裏の腱が裂けるような状態で、恥骨結合炎も発症。陸上人生初のケガで、10月の出雲、11月の全日本も走れなかった。昨年12月の定期検診でも完治はしていなかったが、箱根を走れる状態には戻っていた。

 「正直、今日はケガをしてもいいかな、と思っていた。怖いというよりやってやろうと」。7区以降に勢いをつけ、手にした東海大初の復路優勝。青学大の完全Vを阻止したのは、せめてもの意地だった。

 「だれ一人、大きな失敗はしていない。青山学院さんが強かった。称賛するしかない」。そして2区塩沢、4区名取、5区西田の3年生トリオらが残る来年へ「あの3人は、もしかしたらぼくらの世代より強い」と、後輩に思いを託した。黄金世代を支えた主将の復活走が、王座奪回への呼び水となる。

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