【記者の目】ダブルスに不安も…水谷隼選出は必然 新旧エースそろい踏みに期待大
日本卓球協会は6日、都内で会見を行い、東京五輪代表男女各3人を発表した。男子は張本智和(16)=木下グループ、丹羽孝希(25)=スヴェンソン=に加えて、団体戦代表として水谷隼(30)=木下グループ=を選出。女子は伊藤美誠(19)=スターツ、石川佳純(26)=全農、団体要員で平野美宇(19)=日本生命=が選ばれた。
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フタを開けてみれば男女とも順当な顔ぶれとなった。団体戦代表に選ばれた水谷と平野はともに世界ランク3番手。国内では全日本選手権の優勝経験があり、ダブルスにも定評がある。実力、実績ともに文句のない選考と言える。
ただ、男子の水谷を選ぶにあたっては団体戦のダブルスが懸念材料だった。エース張本をシングルス2試合で起用することが基本線のため、ダブルスは左利きの丹羽と右利きを組ませることが定石。しかし、水谷も左利き。水谷・丹羽ペアは昨年6月の香港OPに試験的に出たものの初戦で惨敗しており、丹羽は「(左同士は)難しい」と難色を示していた。
とはいえ、水谷を外すことは現実的ではなかった。一番の決め手は五輪シード権にも直結する世界ランク。17位の水谷と4番手以降では大きな差があり、右利きではリオ五輪団体銀の吉村真晴らが比較対象だったが、52位。序盤で中国に当たればメダルすら危うくなるため、チームランクを上げるためにも水谷の選出は必然的だった。
依然ダブルスはネックだが、張本と新旧エースがそろい踏みとなっただけに、水谷が全盛期に近いプレーができればシングルスだけでも十分な破壊力がある。また、対戦相手によっては張本をダブルス、水谷をエースで起用する柔軟なオーダーも可能となった。いずれにせよ、31歳で本番を迎える水谷の成否に金メダルが懸かっていると言える。(デイリースポーツ卓球担当・藤川資野)