御所実“漆黒の壁”崩れ初Vならず 来年度で定年竹田監督悲願達成へ

 「全国高校ラグビー・決勝、桐蔭学園23-14御所実」(7日、花園ラグビー場)

 令和初の花園は桐蔭学園(神奈川)が逆転で制した。前回大会に続く7度目の決勝で御所実(奈良)を23-14で破り、9大会ぶり2回目の優勝。日本代表の松島幸太朗(サントリー)らを擁した第90回大会(2010年度)の初優勝では東福岡との引き分け両校優勝で、単独では今回が初となった。前半はリードを奪われたが、後半に高校日本代表候補のSO伊藤大祐(3年)を中心に逆転した。初優勝を目指した御所実は、後半に持ち前の堅守を破られた。

 “漆黒の壁”が最後に崩れた。4度目の決勝でもはね返された。強固な守備を誇る御所実が逆転負けで初優勝に届かず。それでも竹田寛行監督(59)が教え子を誇らしげにねぎらう。「褒めてあげようと。なかなか、ここまで来られないですから」。悔し涙はない。

 あと一歩だった。前半4分、SH稲葉聖馬(3年)が先制トライを挙げるなど11点リードで試合を折り返す。ただ後半に入り桐蔭学園に押し込まれ自陣でのプレーが続く展開に。16分に逆転トライを許すと、反撃への機運は残されておらず、そのまま力尽きた。

 頂点には届かず。ただ、生徒との時間は何物にも代え難かった。「練習はオン。オフは寮で一緒に風呂に入ってじゃれ合いしたり」と竹田監督。寮として改造した自宅に住まわせる選手と触れ合う時間が大切だった。

 “ヤンチャ”な生徒の勧誘から始めた。「そういう子は芯がしっかりしていて」。1989年に監督就任。校内暴力が社会問題だった時代だ。当時の部員は2人。年数を重ねながら部員を増やし練習は鬼ごっこだったチームをここまでにした。

 「ここまでがやっと」。本音は違う。冗談交じりの言葉に初Vへの思いを感じさせる。来年度で定年を迎える。「次で最後?そうでしょうね」。次は花園100回大会。節目に悲願を成就させる。

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