鳥内秀晃氏「ファイターズは自分の人生」今後は「指導の仕方を啓もうしたい」
関学大アメリカンフットボール部・鳥内秀晃監督(61)の退任会見が8日、兵庫県西宮市内の同大学で行われた。今季を含めて12回の甲子園ボウル制覇に導いた闘将は、「ファイターズは自分の人生みたいなもの。こんなに長くやるとは思わなかった」など28年に渡った監督人生への思いを熱く語った。後任を含めた新体制は1月下旬に発表される。
退くと決めても、アメフトに寄せる思いに陰りはない。約1時間に渡った退任会見。鳥内氏は「正直ホッとしている」と率直な思いを明かしつつも、指導者のあり方やコーチングへの信念を問われると、自然と言葉が熱を帯びた。
関学大でDBとしてプレーした後、米国コーチ留学などを経て、1992年に監督就任。勝てない時も「人間教育が一番大事」「大切なのは考える力」と肝に銘じ、辛抱強く学生たちの成長を促してきた。「意見を持っているのに聞いてもらえなかったら面白くないでしょう。一回やってみて、学生を納得させることも必要。僕はサボっているだけ。“お前ら勝手にやってくれ作戦”です(笑い)」。決して押しつけることなく自主性を育む鳥内流で、28年の在任期間中に197勝38敗3分けという戦績を残し、甲子園ボウル12回、ライスボウル1回の優勝を刻んだ。
部の指導は後進に譲るが、楕円(だえん)球とは関わり続ける。「今は休憩」としつつ、「現場の指導よりも、指導の仕方を啓もうしたい」と培ってきた理論の継承を思い描く。「ファイターズにはこれから5年、10年、20年、永遠に日本のフットボール界を引っ張っていって欲しい」。闘将は最後の最後まで熱く、語りかけた。