けんか騒動の石浦、宝香鵬らを処分 八角理事長「次やったらありえない」相撲協会理事会
日本相撲協会は9日、東京・両国国技館で理事会を開き、稽古中、けんか騒動を起こした宮城野部屋力士の懲戒処分に関し審議した。当事者の幕内石浦(29)に1カ月20%の報酬減額(月給140万円→112万円)とけん責(将来を戒める)、幕下宝香鵬(30)にけん責の処分が決まった。師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は監督責任を問われ、3カ月20%報酬減額(計61万9200円減額)となった。
コンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)がこの日までに3人から事情聴取。八角理事長(元横綱北勝海)に処分意見などを答申した。これを受け、理事会が開かれた。
理事会では3人を呼び、それぞれに処分を通知した。八角理事長(元横綱北勝海)からは「こういう処分にするけれど次やったらありえない」と、厳しく伝えられた。
協会発表によれば両名が稽古中、殴り合ったことは稽古の範囲を逸脱。暴力禁止規定第4条の「稽古中において握り拳で殴るなど、審判規則禁じ手反則第1号に掲げる禁じ手を故意に暴力として用いる行為」に該当すると判断された。
一方で(1)通常の稽古中の突発的な暴力(2)ケガはなかったこと(3)両者とも過去に暴力行為はなく、トラブルもなかった(4)感情的になったもので暴力の継続性、反復性はなく、いじめ、制裁など陰湿な要素もない(5)両者が深く反省している-と悪質性は高くない事案と指摘された。
以上の理由から関取の暴力基準は出場停止1場所が基準ながら、石浦は出場停止は回避された。
宮城野親方は昨年春場所、弟子の横綱白鵬が千秋楽、優勝インタビューで万歳三唱を行った際、3カ月10%報酬減額(計30万9600円減額)を上回る処分となった。協会は「その場に居合わせながら暴力の場面を見落とし、過去に監督責任を問われた処分歴がありながら防止、抑制に適切な対応を怠った」と重く捉えた。
理事会では賛否、さまざまな意見が出た。芝田山広報部長(元横綱大乃国)によれば「今までの暴力事案は上から下の者へ継続してというもの。今回は稽古の中で熱くなって突発的に起きたのとは違うと。もっと重い処分にすると、熱くなるいい稽古ができないと。俵を割った後でダメ押し、蹴る、これは論外だけど、真剣な稽古は力士の教育になる。心身を作るのに大事なこと」と擁護の声があった。
同問題は4日、都内の部屋で三番稽古(同じ相手と続けて取る)を行っていた際、石浦がダメ押しされたと感じて立腹し宝香鵬に手を出し、その後、宝香鵬もやり返した。パンチの応酬となり、最後は横綱白鵬が割って入り仲裁した。2人は同学年で入門は石浦が6年後輩になる。石浦は6日の朝稽古後、「自覚が足りなかった。両方が熱くなった中で番付が上の自分が冷静になり対応できなかったのが情けない」と、猛省していた。