桃田賢斗が帰国 足取りしっかりも傷痕生々しく…眉間、右顎に裂傷の痕
遠征中のマレーシア・クアラルンプールで交通死傷事故に巻き込まれたバドミントン男子世界王者の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が15日、成田空港に帰国した。帽子にサングラス、マスク姿だったが、眉間と右あごからは痛々しい傷痕がのぞいたが、しっかりとした足取りで日本の地を踏みしめ、空港を後にした。今後は近日中に精密検査を受けて、当面休養。3月の全英オープン(バーミンガム)を目標に復帰プランを練っていく。同じく負傷した平山優コーチ、森本哲史トレーナーも同便で帰国した。
東京五輪イヤーの初戦に向けて飛び立った4日の出発から、わずか10日あまり。悲劇に巻き込まれ、帰国した日本のエースの顔には事故の凄惨(せいさん)さを物語る傷が刻まれていた。黒の野球帽、薄い青のサングラスにマスク姿で表情はうかがえなかったが、眉間には4~5センチに及ぶ傷痕が。右あごにも裂傷の痕がのぞいた。
それでも立ち止まっていられないのが、アスリートの性(さが)か。関係者によると、桃田は早期の戦線復帰に意欲を見せているという。空港ロビーには報道陣150人にテレビカメラ30台、一般客350人が集まり、桃田が姿を見せると騒然となった。だが、本人は会釈をしながら、しっかりとした足取りで歩行。出迎えた日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事と握手を交わし、肩をたたかれた後、一般とは別動線の出口へ向かった。
マレーシアではまだMRI検査を受けておらず、後遺症の有無を含めて確認するため、近日中に精密検査を受ける。当面、しっかりと休養を取った後、3月11日に開幕する全英オープン(バーミンガム)を目標に、復帰プランを検討していく。
また、完全につぶれた運転席の真後ろに座っていた桃田は、PTSDなどの精神的な後遺症も気掛かりだけに、日本協会はメンタル面でのケアも行う予定。所属のNTT東日本の須賀隆広監督は「ご心配をお掛けしました。温かく見守っていただければ」と話した。
1年以上世界ランク1位をキープし、世界選手権2連覇など圧倒的強さで突き進んできた五輪ロードに待ち受けていた、まさかのアクシデント。今は、どんな逆境も乗り越えてきた25歳の底力を信じるしかない。