ナイキ厚底シューズ禁止か 英紙が一斉に報じる 国際陸連が月末にも調査結果発表

 テレグラフ、タイムズ、デイリーメールなど英各紙は15日、男女のマラソン世界記録を誕生させるなど陸上長距離界を席巻しているナイキ社の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」について、国際陸連によって禁止となる可能性が高いと一斉に報じた。国際陸連は昨秋から調査チームを立ち上げており、「デイリーメール」によると今月末にも調査結果が発表されるという。

 テレグラフ紙は世界陸連の専門家による委員会が検証し、底の厚さに制限を加える規則を設けることになったと報道。現在人気を集めているモデルはトップレベルでは使用が禁じられるとした。

 ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズは、軽さとクッション性の両立のため、ミッドソールに航空宇宙産業で使う特殊素材に由来するフォーム(ズームX)を採用。推進力をつけるため、特殊素材の間に反発力のあるスプーン状のカーボンプレートを挟み込むなどの技術が詰め込まれている。

 使用選手は近年の主要国際マラソンの上位を独占。昨年10月のロンドンマラソンではコスゲイ(ケニア)が2時間14分4秒の女子マラソン世界記録をマーク。ポーラ・ラドクリフの世界記録を16年ぶりに更新した。

 2時間1分39秒の男子世界記録を持つキプチョゲ(ケニア)は昨年、2時間切りを目指す非公式レースでナイキ社の最新シューズを履き、人類で初めて2時間を切る1時間59分40秒(非公認記録)をマークしている。日本でも大迫傑が18年10月のシカゴマラソンで2時間5分50秒の日本記録を樹立したほか、1月2、3日の箱根駅伝では8割超の選手が着用し、10区間中7区間で区間新が誕生。驚きと戸惑いの声が上がっていた。

 禁止となれば、国内外の陸上長距離界に大きな衝撃が走ることになる。テレグラフ紙はキプチョゲの「これらの靴は公平だ。テクノロジーは進化しており、それを否定することはできない」という規制に反対するコメントを掲載した。

 国際陸連の規則では「競技に使用されるシューズはすべてのランナーが合理的に利用可能でなければならず、不公平なサポートや利点を提供するものであってはいけない」とあり、これに抵触するかが焦点となっている。

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