福岡は五輪に挑む、松島は「微妙」 簡単ではない7人制ラグビーへの移行
ラグビー・7人制五輪代表入りを目指すと表明し、18日に今季の15人制最終戦を迎えたWTB福岡堅樹(パナソニック)。W杯日本代表で“Wフェラーリ”を形成したFB松島幸太朗(サントリー)も五輪代表入りを期待されていたが、「僕の話は進展していない」と現状を説明した。
松島は「堅樹から『7人制に来いよ』と言ってもらっている」と五輪でも“Wフェラーリ”へ、勧誘があったことを明かす。実際に福岡も松島の五輪挑戦について「不器用なタイプじゃない。柔軟に何でもこなせるタイプなんで、問題なくできると思います」と適正を認めていた。それでも、簡単には移行できない理由と事情があった。
7人制は15人制と同じフィールドを使って、前後半7分で行う。体格や能力によって適材適所で配置する15人制とは異なり、広いフィールドを少ない人数でカバーするため、ボールが大きく動き、スピードや何度も繰り返し走る能力、パスなどの技術が重要視される。
同じラグビーだが、両者は似て非なる競技だ。福岡が「15人制と比較すると基本的にスピード重視の体になる。体重は多少絞ります」と話すなど、それぞれの特性に合った体作りが必要なため、両立は不可能だ。
さらに五輪に向けて代表チームの戦術や連携にフィットする時間も要する。男子7人制日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC=43)は「適応するには数大会出ることが望ましい。来たい人は早く来てほしい」と早期合流を求めていた。
その一方で、貴重な戦力は所属チーム側も手放せない、という事情もある。両立不可能な中で、協会と所属チームの綱引きという一面もあるのだ。
そしてもう一つは松島自身の問題。今夏の欧州移籍という大目標を掲げている。欧州各リーグは夏の開幕。五輪仕様の体が求められる夏場に、7人制でプレーすることにリスクは少なからずある。
松島は「何を優先してやるかというところで、今のところは微妙という感じですね」と慎重な言い回しだった。福岡に対しては「パナソニックとやるときに堅樹がいないので、その分助かります」と、松島らしい言葉でエールを送っていた。