炎鵬が大関初撃破!初挑戦で豪栄道を一気 奇襲失敗も“小兵劇場”に館内沸いた
「大相撲初場所・9日目」(20日、両国国技館)
幕内最小兵の炎鵬(25)=宮城野=が大関豪栄道を押し出しで破り、初の大関戦で白星をもぎ取った。左へ動いた最初の立ち合いは不成立も、慌てることなく攻め手を変えて、大関初撃破を果たした。5勝目を挙げ、これで白星が先行。変幻自在な取り口で館内を沸かせる人気者は10日目、今度は大関貴景勝に挑む。
相手の懐に潜るような低い体勢から、左前方へピョンと跳ねた。不成立となった最初の立ち合いから168センチ、99キロの小兵劇場が始まっていたのかもしれない。次は何をやってくれるのか。館内の声援が高まり、しこ名入りのタオルが揺れる。炎鵬の大関初挑戦を後押しする空気が膨らんでいった。
奇襲が失敗した瞬間は「頭が真っ白になった」という。それでも崩れないのがこの男。わずかな時間で次なる攻めのアイデアを練り上げた。右へ動いて豪栄道の左腕を手繰る攻めが的中。背後に回り込んで一方的に押し出した。「大関の目の前に立って空気に圧倒されそうになったけど、集中していけた。体が反応した感じですね」。今場所初めての連勝で5勝目。自己最高位で白星を先行させた。
八角理事長(元横綱北勝海)は「炎鵬はいつも通りの相撲を取った。自信が付くのではないか」と称賛。土俵下で一番を見守った豪栄道の師匠・境川審判部長代理(元小結両国)も「聞きにくいでしょうけど聞いてください。避けては通れない」と苦笑いを浮かべながら、「当代一の人気力士。ここは炎鵬をほめてやって。男が勝負してるんだから、勝つか負けるかの」と賛辞を惜しまなかった。
中学、高校の先輩で、憧れていた遠藤を破った8日目に続き、今度は大関戦初白星。これまで3役以上との対戦すらなかったが、10日目は貴景勝の胸を借り、2日連続の大関撃破に挑む。
「(声援で)体が芯から震え上がり、感じるものがありました」と振り返ったように、相手が強ければ強いほど奮い立つ。寄せられる期待が大きな勇気を与えてくれる。「今もフワフワしてますけど」。夢見心地の上位戦で、覚醒の予感を確信に変える。