豪栄道が転落…38年ぶり来場所1大関 無念の33歳「力がなかったということ」
「大相撲初場所・12日目」(23日、両国国技館)
大相撲の大関豪栄道(33)=境川=が初場所12日目の23日、関脇朝乃山に寄り切られて8敗目を喫し、2場所連続負け越しで来場所の関脇転落が決定した。休場明けの今場所は9度目のかど番だった。来場所で10勝を挙げれば1場所で大関に復帰できる。2014年秋場所の昇進から大関在位33場所は史上10位。大関陥落は貴景勝、栃ノ心、高安に次いで4場所連続となり、昭和以降のワースト記録を更新した。
世代交代を象徴する結びの一番だった。豪栄道は右四つがっぷりで胸が合った朝乃山の寄りに力負けし、土俵を割った。この瞬間、2014年秋場所から、33場所にわたって守ってきた大関の座からの転落が決定。「力がなかったということです」と、淡々と敗戦の弁を述べた。
19年九州場所で靱帯(じんたい)を痛めた左足首に不安を抱えながらの土俵は初日から北勝富士、御嶽海、遠藤に3連敗を喫する苦しいスタート。7日目を終えて3勝4敗と盛り返したが、8日目から再び3連敗で崖っぷちに追い込まれ、ついに力尽きた。
これで来場所は1982年初場所以来の1大関となることが確実だ。
江戸時代から役力士と呼ばれる小結、関脇、大関の東西三役は番付上、欠くことができない。小結、関脇は前頭の成績上位者の昇進で補えるが、大関は昇進条件があるためそうもいかない。大関不在の場合は横綱が大関を兼ねる制度があり、番付上は「横綱大関」と表記される。過去に例外はあるものの、来場所は38年ぶりにそうした“非常事態”が見込まれる。
13日目以降について、引き揚げた東京都足立区の境川部屋で豪栄道は「明日はやります。とりあえずやります」と出場の意向を示した。10勝以上で大関に復帰できる地元大阪での春場所。そこで再起を期すのか。土俵下の審判長として見守った師匠の境川親方(元小結両国)は「ご当所だし、勝負をかけるならそっちだ。まだ闘う力はある。結果を急ぐ必要はない」と引退に否定的な考えを示しつつ、「このまま終わっていいのかは、本人が受け止めることだ」と含みを持たせた。