炎鵬が巨漢・高安投げた 国技館大盛り上がり!助言や胸借りた元大関に全力恩返し
「大相撲初場所・12日目」(23日、両国国技館)
幕内最小兵の炎鵬が馬力自慢の関脇高安を下手投げで豪快に転がした。大関豪栄道、大関候補の新関脇朝乃山に続き、元大関まで撃破。7勝目(5敗)を挙げ、4場所連続勝ち越しに王手をかけた。正代が小結阿炎を突き落とし、徳勝龍も輝を突き落として1敗を死守。12日目を終えて平幕2人がトップに並ぶのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降初となった。大関貴景勝が栃ノ心を小手投げで退け、10勝目を挙げ、ただ1人、1差の2敗でトップを追う。
横綱白鵬譲りの美しい投げだった。炎鵬が左下手を抜きながら、さらりと回る。右上手の巨漢高安は目の前の標的を失い、豪快に落下し腹ばいになった。幕内最小兵の連日の番狂わせに、館内は大きな拍手に包まれた。
白鵬にスカウトされプロ入り。同じ部屋で最強横綱を間近で見て、稽古で胸を借りた。「盗めるところは盗んで自分のものにしてきた。体の向き、投げ方を教えていただいた。それがこういうところで出たのは自信になる」。横綱に投げられた分だけ、体に極意が染みついていた。
前日は足取り、取ったりと連続技で朝乃山を撃破。この日は一転、懐に潜って得意の左差しで攻めた。「自分からいくしかない。腹をくくっていった。食らい付いてしぶとくいった」。馬力自慢の元大関相手に決死の覚悟が勝利を呼び込んだ。
高安には巡業中も肩のケア、強化など助言をもらい、ぶつかり稽古で胸も借りた。「少しでも力を付けて」と、全力で恩返しした。
初の上位総当たり戦で2大関、2関脇相手に3勝1敗と勝ち越し。中日から4勝1敗とこれまでスタミナ切れで苦戦した後半戦で星を伸ばした。後半戦でも「自分らしさを出し切れているのは成長」と胸を張った。
支度部屋では首、背中をアイシング。体はいっぱいいっぱいだが「みんなそういうのを抱えてやっている」と弱音は一切ない。あと3日、小さな体を奮い立たせるのみ。13日目、強敵阿炎相手にまずは勝ち越しを狙う。