松田瑞生の激走V 厚底ブームの中、足元支えた名工の逸品「選手に合う靴を履くのが基本」
「大阪国際女子マラソン」(26日・長居陸上競技場発着)
東京五輪代表残り1枠を争うMGCファイナルチャレンジを兼ねて行われ、松田瑞生(24)=ダイハツ=が日本歴代6位の2時間21分47秒で2年ぶり2度目の優勝。設定タイムの2時間22分22秒を上回り、五輪代表入りへ大きく前進した。MGC3位の小原怜(29)=天満屋=は2時間28分12秒で13位に終わり代表入りが厳しくなった。同7位の福士加代子(37)=ワコール=は25キロ過ぎで途中棄権し、最後の選考大会となる名古屋ウィメンズ(3月)での再挑戦に意欲を見せた。
高校1年生から愛用する名工の逸品が、激走を足元から支えた。現在、陸上長距離界はナイキの厚底シューズが席巻。男子のトップ選手のほとんどが使用し、箱根駅伝では8割を超える選手が着用。女子にもその流れがやってきつつある中、松田は高橋尚子や野口みずきの五輪金メダリストのシューズも制作した三村仁司氏のニューバランス社製のシューズで挑み、見事に設定記録を突破した。
当初、使用する予定だったシューズは、キツかったため、23日に修正を依頼。届いたのは、レース前日の25日だった。ただ、履き心地は抜群。三村氏によると「(当初のものより)両足とも2・5ミリ大きくした」という。外反母趾を抱え、足がむくみやすい松田の足の特徴を熟知。レース前にはテーピングもほどこし、通常は1枚巻くものを、三村氏の判断で2枚に。繊細な“チューニング”で快走を導いた。
三村氏は「直前に靴を変えるのは普通はあんまりしない」と苦笑いしつつ「それができなきゃ技術者じゃない」とうなずいた。厚底ブームの流れに一矢報いる形となったが「それはあんまり関係ないかな」とし「選手がそれぞれに合った靴を履くのが基本。薄い厚い関係なく、自信を持って練習をこなせて、自分に合った靴を自分で選ぶことが大事」と、説いた。
日本陸連の山下佐知子五輪強化コーチは「三村さんの別注シューズを貫いたのは、(今の流れの中で)画期的だった。こうと思ったことを貫くということも大事」と話し、河野匡長距離・マラソンディレクターも「これから(メーカーの)競争が始まっていく。何事もそうやって向上していくもの」と、話した。