テコンドー 協会ゴタゴタ乗り越え五輪代表決定 鈴木「価値下がる不安あった」
「テコンドー・東京五輪代表最終選考会」(9日、桑原学園体育館)
昨秋から表面化した全日本テコンドー協会の“内紛騒動”を経て、ようやく五輪代表4選手が出そろった。
男女各2階級で行われ、女子57キロ級は15年世界女王の浜田真由(26)=ミキハウス=が制して3大会連続の五輪代表を決めた。同49キロ級は山田美諭(26)=城北信用金庫=が初の五輪切符を獲得。男子58キロ級は日本人の父とボリビア人の母を持つ鈴木セルヒオ(25)=東京書籍=が優勝し、68キロ級を制した弟の鈴木リカルド(19)=大東大=と兄弟での五輪代表となった。
協会とトップ選手は強化方針などを巡って対立していたが、金原昇前会長が騒動の責任を取って昨年12月に退任し、全理事を刷新して新体制が発足したことで収束に向かった。新たに強化委員長となった山下博行氏は、この日の就任会見で「旧体制について申し上げることはない」と前置きしつつ、「限られた時間の中で選手の力をいかに引き出すか。チーム力の向上も図っていきたい」と結束を目指す方針を示した。
協会の組織の在り方ばかりが注目される中でも、選手は五輪を見据えて強化を続けていた。
代表に決まった鈴木セルヒオは「(騒動で)テコンドーの価値が下がってしまうんじゃないかという不安もすごくあった。悲しかった」と当時の心境を明かしたが、「選手としてやるべき事は勝つこと。こういう(不本意な)形にはなったが、(世間から)注目されているので、テコンドーの価値を伝えられるように結果で貢献したい」と五輪に向けて前向きに話した。
一方、この日は金原前会長も訪れ、観客席から熱視線を送った。「非常にいい試合でしたよ」と賛辞を送り、「(自身が)会長かどうかは関係なく支援もするし応援もする。テコンドー界のために、これからは一致団結して応援しないといけない」と“下野”してからも協力を惜しまない姿勢を示した。