前田穂南が日本新V!金ロード乗った「同じ流れになっていいモチベーション」
「青梅マラソン」(16日、東青梅四丁目~青梅市総合体育館前=30キロ)
女子の部で、東京五輪マラソン代表の前田穂南(23)=天満屋=が1時間38分35秒の日本新記録で圧勝した。04年アテネ五輪金メダリストの野口みずきが05年ベルリン・マラソンで30キロ通過時に記録した1時間38分49秒を15年ぶりに更新。野口は04年大会を当時の日本記録(1時間39分9秒)で制し、アテネ五輪でも優勝しており、5カ月後の東京五輪に向けて大きな弾みをつけた。
昨夏の東京五輪代表選考会を圧勝したシンデレラガールが、冬の青梅路で完全に“黄金軌道”に乗った。前田は序盤からトップを独走。男子選手の集団をペースメーカーとして快ラップを刻み、“レジェンド”野口みずきの持つ日本記録と大会記録を塗り替えた。
「1時間39分切りを目標にしていたけど、日本記録までは考えてなかった」と、ニッコリ。野口は04年の青梅を制し、そのままアテネ五輪で頂点に立った。「同じ流れになって、いいモチベーションになった」と、いつも通りのおっとりとした口調の中に、確かな自信をにじませた。
調整は決して順調ではなかっただけに、その価値は増す。1月に都道府県駅伝を走った後、高地合宿先の米アルバカーキに戻ったが、体調を崩し、30キロ走で右足首を痛めた。その後、回復を優先しつつ挑んだ大会で、圧巻のパフォーマンス。指導する武富豊監督も「日本記録はちょっと予想外」と、目を丸くした。スペシャルゲストで来場していた00年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんも、その走りを絶賛。「走りの引き出しは、今の日本の選手の中で一番多い。五輪だからといって守りに入らず、自分でレースをコントロールして支配できる。そんな強さを持っている」と、うなずいた。
今後は五輪本番を見据えながら、調整としてハーフマラソンへの出場を検討している。「けがなく、継続して練習したい。五輪での金メダルを目指して頑張っていきたい」。高橋、野口による五輪連覇から16年。日本女子マラソンを復活させるのは、この23歳かもしれない。