京産大ラグビー部新監督・伊藤鐘史氏 10数年後をも見据えた手腕に注目
ラグビーの2015年W杯イングランド大会日本代表の伊藤鐘史氏(39)が1月に、2シーズン務めた京産大のFWコーチから監督に就任した。47年間指導した大西健前監督(69)からバトンを引き継ぎ、関西大学Aリーグで4回の優勝を誇る強豪校のかじを取る。昨年のW杯日本大会でデイリースポーツ評論「SHOJIが斬る」が好評を博した同氏に、母校の監督に就任した心境や指導への考え、自身のラグビー人生などについて聞いた。以下は取材後記。
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インタビューを通して感じたのが、伊藤監督は物事を長期的な視野で捉えているということだった。脂が乗っていた30歳過ぎにセカンドキャリアについて考え始め、2016年春に京産大の大学院に入学。興味を持っていたマネジメントなどについて学んだ。
現役引退後、京産大のFWコーチに就任してからも、いろいろな局面で、もし自分が監督だったらどうするか?と問いかけ続けていた。いつかは指導者になりたい…との思いは母校の監督という形で実を結んだ。
大学院時代に手がけた論文を通じて、頂点へと上り詰めるだけでも干支(えと)の1周分はかかるかもしれない、という自分なりの指標を得たという。日本一を目指しつつ、自らに課した任務は『進化』。10数年後をも見据えた手腕に注目している。(デイリースポーツ編集委員・高橋伯弥)
◆伊藤鐘史(いとう・しょうじ)1980年12月2日、神戸市出身。兵庫工高から京産大に進み、4年時には主将を務めた。03年にリコーに入社し、09年に神戸製鋼に移籍し、主にロックとして活躍。31歳のときに日本代表に初めて選出され、15年W杯イングランド大会の日本代表にも選ばれた。日本代表キャップは36。17~18シーズンで引退し、18年に京産大のFWコーチに就任した。家族は妻と2男1女。