柔道リオ金の大野将平「ろくでもない試合」圧巻Vで東京五輪決定的も内容不満
「柔道・グランドスラムデュッセルドルフ大会」(22日、ドイツ)
東京五輪代表選考会の一つとして行われ、男子73キロ級は、リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(28)=旭化成=が強豪ぞろいのトーナメントで6試合を勝ち切り、優勝した。代表争いで2番手に差をつけており、27日の強化委員会での代表内定が決定的となったが、「現状としては最低限。ろくでもない試合でした」と内容には満足しなかった。
世界中から圧倒的で美しく勝つ柔道を期待される中、勝負にも徹しなければいけないという二つの命題がある中で、後者を優先しなければならない局面が多かった。指導3つによる反則で泥臭く勝ち切る試合もあり、「雨とは言わないが、曇りみたいな感じで、どんよりとした(内容)。パッとしなかった。情けない」と首をかしげつつも、自身の手の指のけがによるブランクや、五輪イヤーの国際大会とあって織り込み済み。「あまりいい試合ではなかったが、相手も必死なので当たり前。悲観する必要もない。(今後に向けて)引き締め直す大会になった」とうなずいた。
求めていたのは、実戦ならではのバチバチした戦いだ。「他の選手全員から首を狙われている感覚、五輪の年独特の、外国人選手が上げてきた感覚は、実際に試合でしか味わうことはできない」。4回戦はリオ五輪66キロ級金メダリストのファビオ・バジレ(イタリア)、決勝は2年前のアジア大会で激闘を繰り広げた18年世界王者の安昌林(韓国)といったチャンピオンからの挑戦も受けたが、跳ね返した。
五輪選考が懸かる節目の大会だったが、五輪王者として高みを目指す大野にとっては「代表権を得るために来たわけではない」といい、本番に向けた準備の一貫にしか過ぎないという。初対戦の相手との手合わせや、審判の新しいルール解釈の感覚も収穫となった。「(五輪)本戦しか私は見てない。そこで負けたら何も意味をなさないので、そこに向けて明日からやっていきたい」。異次元の強さを求めていく。