柔道東京五輪代表、記名投票で可否 ライバル所属指導者にも投票権「レベルの低い人いない」

 全日本柔道連盟の金野潤・強化委員長は23日、東京五輪代表選考会の一つとして行われたグランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会の全試合終了後、試合会場で取材に応じ、27日に都内で行われる強化委員会で大部分の階級で五輪代表を決める方針を示した。今大会前に、各階級で誰がどのような結果であれば審議にかけるかを周到に精査してきたといい、「何度も監督らと全員でシミュレーションしてきた。(試合後も方針は)一切ぶれていないため変わることはないと思う」と話した。

 27日には、今大会までの成績などを総合的に判断した上で、まずは強化委員長、代表監督ら首脳陣が代表候補選手を推薦し、強化委員の3分の2以上が賛成すれば決定となる。金野委員長によれば、記名による投票方式を予定しており、各階級の候補選手について説明、質疑応答を経て決議する。ただ、候補選手の現所属の指導者には投票権は与えない。一方でライバル選手の所属指導者は投票できるというが、「自分の所属だから入れるとかレベルの低い方はいない。それは安心している」と強調した。

 代表選考の第一段階だった昨年11月のGS大阪大会では、世界選手権に続いて優勝した女子78キロ超級の素根輝(環太平洋大)のみ代表に決まった。

 その後の第二段階では、マスターズ大会、GSパリ大会を経て、今回のGSデュッセルドルフ大会は一部を除く各階級の1番手が出場。今回優勝した阿部一二三(日体大)と丸山城志郎(ミキハウス)という2人の世界王者が拮抗(きっこう)している男子66キロ級は最終選考会である全日本選抜体重別選手権(福岡)にもつれ込むことが決定的だが、それ以外の12階級は一挙に代表が決まる可能性が出てきた。

 男子60キロ級の高藤直寿(パーク24)、73キロ級の大野将平(旭化成)、女子は52キロ級の阿部詩(日体大)、63キロ級の田代未来(コマツ)、70キロ級の新井千鶴(三井住友海上)、78キロ級の浜田尚里(自衛隊)がそれぞれ優勝してライバルとの差を広げ、代表選出は決定的となった。

 女子48キロ級の渡名喜風南(パーク24)は今回2位に終わったが、世界選手権銀メダル、GS大阪大会優勝などの実績で2番手との差は大きく、代表入りは男子81キロ級の永瀬貴規(旭化成)は初戦敗退となり不透明な状況だが、昨年は国際大会4連勝を挙げており、ライバルの藤原崇太郎(日体大)とは差をつけているため、今回で代表に決まる可能性もある。

 今回欠場した4階級についても、金野潤強化委員長は「この大会だけで決めるのではなく、1年間の成績などを総合的に見て判断する」と強調しており、代表を審議に懸ける可能性が高いとみられる。

 ただ、男子100キロ超級では2番手の影浦心(日本中央競馬会)がGSパリ大会で五輪2連覇中のテディ・リネール(フランス)を撃破しており、強化委員の判断が割れる可能性もある。

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