阿部一二三 左手親指脱臼していた 4月五輪最終選考会へ不安材料
柔道の東京五輪代表選考会の一つとして行われたグランドスラム・デュッセルドルフ大会で優勝し、五輪代表に望みをつないだ男子66キロ級の阿部一二三(22)=日体大=が、大会中に左手親指を脱臼していたことが25日、明らかになった。成田空港に帰国した日本男子の井上康生監督(41)が明かしたもので、最終選考会である全日本選抜体重別選手権(4月4~5日、福岡)の出場に向けては「問題ない」との見解を示した。
阿部は今大会で負ければ五輪が絶望的だったが、重圧が懸かり苦戦を強いられる中で優勝。19年世界王者の丸山城志郎(26)=ミキハウス=と並んだ形となり、4月の最終決戦に持ち込んだ。
ただ、試合を勝ち上がる過程で左手親指を負傷し、途中からはテーピングで固定していた。試合直後、本人は「大丈夫」と強調していたが、大事を取って試合翌日に緊急帰国。国内で診察を受けた結果、脱臼と周辺のじん帯の損傷と診断されたという。
ただ、骨には異常なく、既にトレーニング、打ち込み、投げ込みなどの練習は可能だという。最終選考会に向けて不安材料となるものの、右組みの阿部にとって引き手側の親指とあって、握る際に影響の大きい小指側でなかったことは不幸中の幸い。7月の五輪開幕までも150日を切っただけに、井上監督は「1日でも早く回復させることが重要」と話した。