阿部詩が初五輪!日本勢優勝者なしの“鬼門”で歴史刻む金誓った「一番強い自分を」

 全日本柔道連盟は27日、東京五輪代表を選考する強化委員会を都内で開催し、男女12階級で代表を決定した。女子52キロ級で18、19年世界女王の阿部詩(19)=日体大=は初の五輪切符を獲得。同階級では日本勢初となる金メダルに向けて決意を新たにした。また、丸山城志郎(26)=ミキハウス=と阿部一二三(22)=日体大=の世界王者2人が拮抗(きっこう)している男子66キロ級のみ、全日本選抜体重別選手権(4月4、5日、福岡)が最終決戦となることが決定した。

 念願だった初五輪を決めた。しかし、わき上がってきたのは感慨というよりも覚悟。阿部詩は、笑顔を最小限に抑えながら「東京五輪の内定より、優勝(が目標)だと思っていたので、内定にはこだわっていなかった」と表情を引き締め、「東京五輪では一番強い自分を見せて優勝したい」と決意を込めた。

 ずっと背中を追いかけてきた兄一二三よりも先に五輪代表を決めた。5歳の時、柔道を始めたのも、兄が通う道場に付き添って一緒に行くうちに「詩もやりたい」と言い出したのが始まりだ。ただ、兄は激しい代表争いをしている渦中。「私にできることは信じることだけ。お兄ちゃんなら絶対に決めてくれると思っている」と祈った。

 昨春、兄と同じ日体大に入学後は、一二三と一緒にトレーニングをしたり、兄が練習する姿を間近で見る機会が増え「刺激をし合えている」ときょうだい仲がより深まった。「(4月に向けて)最高の準備をお兄ちゃんができるように、自分も頑張りながら支えたい」と力を込めた。

 代表決定後、いつも全力で応援してくれる家族に電話で報告した。くしくも、この日は父浩二さんの50歳の誕生日だったといい、「一番いいプレゼントを届けられたかな」。そう言いつつも、父の年齢はよく知らないようで「何年生まれ?わからない」と苦笑い。報道陣から耳打ちされる形で「50です(笑)」と笑わせた。

 「4年前の自分には考えられなかった」という五輪の舞台。シニアで立ちはだかったのが17年世界選手権銀メダルの角田夏実(了徳寺大職)ら国内のライバルだった。「ここまで強くしてくれたのは、志々目(愛)選手、角田選手だと思っている」と感謝しつつ、「自分が代表だという覚悟を持って東京五輪で戦いたい」と宿敵の思いも背負う。

 女子52キロ級は、前回まで3大会連続で臨んだ中村美里(三井住友海上)をはじめ、日本勢で唯一五輪の優勝がない“鬼門”。「私が東京五輪で優勝して、52キロ級で(日本勢)初めての優勝を目標にしているので、しっかりそこに向かって今から準備したい」。歴史的金メダルに向けて決意を新たにした。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス