大迫の3枠目決定的、井上にはきつい展開 宗猛氏が東京マラソン振り返る
「東京マラソン」(1日、東京都庁~東京駅前)
東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=が自身の記録を21秒更新する2時間5分29秒で日本人トップの4位となり、五輪代表入りを決定的にした。自身2度目となる日本実業団連合からの報奨金1億円も手にした。8日のびわ湖毎日マラソンで、大迫のタイムを上回る選手が出なければ、大迫の代表入りが決まる。“3強”とみられていた前日本記録保持者の設楽悠太(28)=ホンダ=は2時間7分45秒で16位、18年アジア大会金メダリストの井上大仁(27)=MHPS=は2時間9分34秒で26位だった。84年ロサンゼルス五輪4位入賞の宗猛旭化成陸上部総監督がレースを振り返った。
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大迫選手の好走の要因の一つは、よく我慢したことにあります。集団から離れた時はきつくて、つけなかったのでしょう。そこから我慢して、井上選手のペースが落ちてからうまく対応しました。
昨年の東京では寒さに弱いと感じたし、MGCではそこまで暑さに強くない、と印象を受けました。今日のような気候が合っているのかもしれません。もっとも、彼は走りそのものが軽いし、スピードの切り替えもできます。いろいろな点で、日本で一番強いランナーだと思います。
井上選手は調子が良かっただけに、大迫選手が離れたのが分かって、このまま…と思ったはずです。しかし、集団の中の日本勢は1人になりました。2~3人いれば別ですが、1人だと重圧がかかり、きつい状況に置かれるものなのです。
設楽選手は本来の走りではありませんでした。そこまで走れる状況にはなかったと思いますし、総合的に考えて後ろを走ったのでしょう。
日本記録が出たことはすごいのですが、他の日本人選手がここまで記録を出すとは予想外でした。世界の大会を見てもサブテン(2時間10分以内)を出す人数は1桁ぐらいとしたものです。自己ベストを出した選手は軒並み2分から5分ぐらい縮めていますし、普通では考えられません。シューズ効果も大きいと思いますし、気象条件が良く、ペースメーカーも絶妙だったことが要因でしょう。
びわ湖毎日の気象条件がどうなるかは分かりませんが、日本勢のトップは2時間7分前半あたりとみます。五輪代表の3人目には、90%以上の確率で大迫選手が入るでしょう。(84年ロサンゼルス五輪4位入賞、旭化成陸上部総監督)