桃田、事故被害を糧に「心の強い部分になったかなと」【会見一問一答3】
今年1月に交通事故に巻き込まれて負傷し、2月8日に右目眼窩底骨折の手術を受けたバドミントン男子の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が6日、都内で会見を開いた。事故を経て、今自分ができることには「全力で責任を持って取り組んでいかなければ」という思いを抱くようになったと心境について語った。以下、一問一答の(3)。
-今回、事故があり、バドミントンができなくなる可能性があったことで、自分にとってバドミントンはどのようなものであると再確認できたか。
「やっぱりバドミントンは、自分にとってバドミントンしかないですし、いつもバドミントンに成長させてもらってますし、そのバドミントンが好きな気持ちが今もこういうふうに頑張れている(理由になっている)と思うので。でも取り組む姿勢とかはあまり変わらず、これまで通り、自分らしく頑張っていければいいかなと思ってます」
-事故があった時に、なんでこんな時期にとアンラッキーに感じる部分と、それでも生きることができたというラッキーに感じる部分と、受け止め方は。
「あの事故によって亡くなってしまった方がいる中で、ラッキーと思ったことは一度もなかったですね。でも、まあ起きてしまったことなので、引きずっても仕方ないですし、まだバドミントンを続けるチャンスがあるので、自分のためだけではなくて、バドミントン界においていい影響を与えられるような選手になりたいと思います」
-命を失うかもしれないことを経験して、自分の生かされた経験をどう生かしていこうと考えられますか。
「自分ができることには、取り組むことができることには、全力で責任を持って取り組んでいかなければいけないなというのはすごく思いました。また復帰して、トレーニングをした時に、今まで以上に頑張りたいという気持ちがわいてきたので、そこは、この経験を得て、自分の心の強い部分になったかなと思います」
-金メダルを目指す五輪を万全に迎えるためにポイントになることは。
「正直、今、自分が試合をできる状態にあるかと言われたら、全然、そこまで戻っていないので、やらなければいけないことはたくさんありますし、先は長いですけど、そういった時でも一つ一つ焦らず取り組んでいくことと、後はそういう今まで以上に手厚いサポートをしてくれている感謝の気持ちというのは忘れずにしっかり、いつかコートに戻って、コートの中で自分を表現して、恩返しできるように一日、一日を無駄にしないように取り組んでいけたらなと思います」
-事故にあった時、寝ていたということだが、事故を把握した時どんな思いが去来したのか。リハビリと練習について、今、どういうことをしているか。
「寝ていたので、事故にあった時は、何が起きたのかも分からなくて、自分もすごく混乱していたので、当時の感情というのはあまり覚えていないです」
(続けて)「目のトレーニングは、とにかく目を動かすということが大事と言われたので、自分が気がついた時に、目を動かすトレーニングをしたり、いっぱい羽根を打ったり。そういうことが少しでも早く完全な状態に戻るための方法かなと思います」
-どういう時に心が折れそうになったのか、具体的にどのような激励で救われたのか。
「事故にあって、本当に動けない状態でしたし、『また動けるようになるのかな』とか、『バドミントンできる体に戻るのかな』という不安もすごくありましたし、手術をするかしないかの決断の時も『うまくいかなかったらどうしよう』とか、すごくネガティブな感情が出てきた時、本当にそういう時に諦めそうになったりとかがあったんですけど…」
(続けて)「本当に、以前、小学校に訪問させていただいた時の生徒の方々から手紙をもらったりとか、SNSでも自分が尊敬しているスポーツ選手からもメッセージをいただいたりとか。そういうことがすごく励みになりましたし、いろんな方の激励のおかげで、また頑張ろうと思えたのかなと思います」