響く土俵からの音、無観客で鮮明に 横綱土俵入りのかけ声もなし、行司の節回しまで
「大相撲春場所・初日」(8日、エディオンアリーナ大阪)
史上初めて無観客で行われた本場所の初日が終わった。普段は歓声にまぎれる土俵から聞かれる音が、NHKによるテレビ中継でもはっきりと確認できた。
まずは、呼出しによる相撲を取る力士のしこ名を呼ぶ声や、拍子木の音がよく聞き取れた。土俵上で行司が発する「まったなし」、「残った、残った」、さらには結びで「この相撲一番にて本日の、打ち止め~」などの声も、節回しまで分かるほど伝わってきた。
横綱土俵入りや弓取り式で、大きく四股を踏む際に定番となっている、観衆からの「よいしょ」というかけ声も、当然のことながらなし。かわりに、土俵を踏みしめる音や、せり上がる際に足をする際の音が響いた。
何より、力士が激しくぶつかる音や思わず出てしまう声も、取組の激しさを伝えていた。
もちろん、今回のような事情による無観客開催によって、相撲“ならでは”の音が聞かれることは喜ばしいものではない。力士、そして協会員全員にとっても、普段と違う環境で相撲を取ることへの対応が求められているという現実があるのも確かだ。