東京五輪の開催危ぶむ声も 相次ぐ大会の延期、中止を受けて
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)は11日、同日に同組織委の高橋治之理事が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内外の一部メディアに大会延期の検討を進める考えを示したことを受け、都内で急きょ報道陣に対応し、火消しに奔走した。予定通りの開催を改めて強調したが、ウイルスという未知の脅威に直面する中、組織委内の混乱を国内外に露呈した。
新型コロナの影響はスポーツ界に暗い影を落としている。国内ではプロ野球、Jリーグの延期、選抜高校野球の中止が決まった。大相撲も無観客で開催。本来なら沿道に人が詰めかける東京マラソンも閑散とした中で行われた。世界的にも五輪予選などの中止、延期が相次いでおり、東京五輪の開催を危ぶむ声が高まってきた。
大会準備にも影響が出ている。テスト大会は選手不参加などが相次ぎ、物流停滞で必要な資機材調達にも遅れが発生。聖火リレーの行事も規模縮小などになり「盛り上がりに水を差されている」(大会関係者)状況だ。
五輪の開催可否の最終的な決定権はIOCにある。首都大学東京の舛本直文特任教授(五輪研究)は「日本が終息しても、世界的に拡大していればIOCがWHOなどと協議し、中止か延期かの判断をするだろう」との見方を示している。