御嶽海が貴景勝を撃破!無傷の5連勝「ここからじゃないですか」

 「大相撲春場所・5日目」(12日、エディオンアリーナ大阪)

 2度の優勝経験のある幕内御嶽海が大関貴景勝を電車道で寄り切って無傷5連勝に伸ばした。無観客場所も“オレ流”を貫くマイペース男には関係なし。6日目、大関とりの関脇朝乃山も食って大関ロード再進撃&V3へ加速する。高安が休場し不戦勝となった朝乃山も初日から5連勝。全勝は横綱白鵬、朝乃山、御嶽海、平幕碧山の4人。一人大関の貴景勝は3敗となった。

 強い御嶽海が戻って来た。低く踏み込んだ貴景勝に当たり勝ち。相手の肘をおっつけ、体を浮かせて押し込んで一気に走った。馬力自慢の大関を3秒5の電車道で仕留めた。

 「中に入る感じ。悪くなかった。自分の相撲を取れている」。技術的にも完璧な突き押し封じを、涼しい顔で振り返った。

 丸3年、17場所連続で三役をキープし、大関に一番近い男に目されながら失墜。初めて2場所連続で負け越し、尻に火がついた。

 自身を見つめ直し、「気持ちを整えるのが一番。精神統一ができるかできないか」とたどりついた。ある親方から「しゃべりすぎ。しゃべらないで目標を実現しろ」と諭されたのもヒントになった。

 天才肌の27歳は感覚を大事にしてきたが今は、必死に頭をフル回転させる。「考えると、ああしよう、こうしようとできる。考えてないからいい結果が生まれなかった。何が自分に合うか探すのが大事」。新型コロナウイルスで無観客となった春場所、集中力に苦しむ力士が多いが、御嶽海にはむしろ好影響を与えている。

 稽古不足を指摘されながら、絶対に自身を曲げないマイペース男。“オレ流”を貫き、現役では横綱以外ただ1人、2度の優勝を手にした。勢いに乗れば一発の爆発力は実証済みだ。

 初日から炎鵬、阿炎、正代、豊山と世代の近い実力者を圧倒。6日目、大関とりの朝乃山をねじ伏せれば、自身の大関再進撃も加速する。「ここからじゃないですか」。関脇以下で史上初となる3度目優勝へ大チャンスだ。

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