「競歩・全日本能美大会」（１５日、石川県能美市）

　女子は世界選手権７位の藤井菜々子（２０）＝エディオン＝が１時間３３分２０秒で初制覇し、日本陸連が定めた条件を満たして初の五輪代表入りを決めた。岡田久美子（ビックカメラ）に続く２人目の決定。男子は池田向希（東洋大）が１時間１８分２２秒で初優勝して初の五輪代表に決まった。

　１７キロでスパートすると、あとは残る３キロを一歩ずつ踏みしめるだけで良かった。藤井が世界選手権７位入賞の実力を見せつけて、五輪代表に決定。両手で拳を握ってゴールした後、ためていた涙を試合で初めて流した。

　「１月にケガをしてから２カ月、苦しい期間だった。東京五輪に出られるのか、ということも考えた」。１月の合宿で右太ももの靱帯（じんたい）炎を発症し、代表選考会だった２月の日本選手権を欠場。本格的な練習が再開できたのは今大会の１カ月前だった。

　北九州市立高２年のときに競歩を始め、東京五輪の活躍などが期待される日本陸連のダイヤモンドアスリートにも選ばれた逸材。リオデジャネイロ五輪代表の岡田久美子と練習をともにする機会にも恵まれ、成長を遂げた。

　五輪に向け「確実にレベルアップしてメダル獲得を目標にしたいが、まだまだ未熟。目標というより挑戦を視野に、練習を頑張りたい」と言葉を選んだ２０歳。五輪代表に決まっている岡田とともに、男子に負けない旋風を札幌で巻き起こす。